あすリートチャンネルの特別企画、鳥谷敬ドキュメント、アメフト企画に続いての第3弾は陸上競技です。
大阪が生んだ世界標準のスプリンター多田修平選手がリモート出演、スポーツジャーナリスト生島淳氏が聞き手となり、陸上短距離の魅力を語ってもらいました。
#1から#3、トークは3つのパートに分け毎週土曜日に更新予定です。

最終回#3は、無名の大学生が全国区にデビューした2017年の軌跡、はじめて代表として日の丸を背負って戦ったロンドン世界陸上の思い出、
全日本インカレでの桐生祥秀選手との一騎打ち、そして、社会人となって2年目の今シーズンの23歳の覚悟を語ってもらいました。

ロンドン世界陸上でウサイン・ボルトと二度対決

初めて日本代表として出場したロンドンの世界選手権ではその大会で現役引退を表明していたウサイン・ボルト選手と予選、準決勝を同じ組に走るという幸運。
一走として走ったリレーでは銅メダルを獲得するなど多田選手にとって一生の思い出となる世界デビューとなりました。

生島 ボルト選手とは2本走りましたもんね。予選と準決勝と。

多田 そうなんですよ。すごいプレッシャーでしたね。はじめての日の丸がボルト選手と、だったんで。

生島 いやあ、もってるなって記者席で話をしてたんですけど。

多田 (笑)ありがとうございます。

生島 どうでした予選、準決 と走ってみて。

多田 プレッシャーはあったんですけどボルト選手が出場するだけで会場が凄い盛り上がるんですよね。
   それに圧倒されて、ちょっとレース前にビビっちゃったというか。本当に経験も浅いころだったんで。

生島 招集所で緊張しました?

多田 めちゃくちゃしましたね。ボルト選手とかはすごいリラックスしてたんですけど、僕はガチガチで。
   ちゃっと力んじゃったというのはあるんですけど、そのときのコンディションの中ではいいレースが出来たと思います。

生島 朝原宣治さんが北京オリンピックのときの話をしてくれたことがあって、ボルト選手は走る30分前くらいには
   Yoh Yoh みたいにな感じで

多田 そうですね。

生島 で、いきなりぐぐっと来るらしいんですよね。

多田 他の選手ともすごい喋りますし、朝原さんも言ってた通りでなんか試合前じゃないみたいな状態なのですごくリラックスしてますね。

    

ウサイン・ボルトに先行する多田修平

桐生9秒台の2017日本インカレ 悔しさ100%の決勝

ロンドン世界陸上から帰国後もいくつかのレースをこなした多田選手は9月、学生日本一を決める日本インカレ(福井)に出場。
一つ先輩の桐生祥秀選手(東洋大)との一騎打ち、100m決勝に全国の注目が集まりました。
日本人初の9秒台(当時の日本新)が飛び出した決勝、多田選手は2位、9秒台フィーバーの中、悔しい思い出となりました。

多田 このときは自己ベストだったんですけどホントに嬉しくなくて。優勝狙ってたし、日本初の9秒台も目の前で出されちゃったので、
   悔しさ100パーセントというか、もうそれしかなかったですね。

生島 多田選手は3年で、桐生選手は4年だったんで、全日本インカレの勝負はこれが最後でしたからね。

多田 そうですね。大学の試合じゃないですよねレベルが。

生島 世界レベルですよ。

多田 (笑)

     

生島 前半はいい感じじゃないんですか?

多田 問題は中盤以降なんですよ。桐生選手に並ばれるんですよ中盤以降で。
   そこで固くなっちゃってるんですよね。

生島 顔もちょっと。

多田 顔もちょっと上にあがって、やっぱり見えちゃってるんで横に。気配でわかるんですよ。
   ちょっと力んじゃって、歯を食いしばってるんじゃないですかね。

     

生島 これね、100メートルの面白い所ですね。100メートルって誰にも邪魔されないじゃないですか。

多田 そうですね。

生島 誰にも邪魔されないんだけど動揺はするんですよね。

多田 しますね! 誰でも、どんなトップ選手でも克服できないことだと思うんですけど、
   横に選手がいると速く走りたいって気持ちが先走っちゃって力が入っちゃうんですよね。
   これって本当に誰も、ボルト選手でさえも力んじゃう場面を何回も見たことがあるんで。

生島 それが100の面白さであり、難しさですよね。

「どんな男になんねん」

スペシャルトークの〆は生島氏のむちゃ振り?
生島氏の近著は関西学院大学アメリカンフットボール部の鳥内前監督との共著、タイトルが「どんな男になんねん」
最後の質問は同じ関西学院大学出身の多田選手に「どんな男になんねん?」と問いかけました。
多田選手の答えは…… 動画をお楽しみください。

     

多田修平 tada shuhei プロフィール

出身:大阪府東大阪市
生年月日:1996年6月24日
所属:住友電気工業株式会社
自己ベスト:10秒07 (2017年9月)
趣味:写真撮影
好きな場所:スターバックス
2017ロンドン世界陸上/2019ドーハ世界陸上 4×100mR 銅メダル


生島 淳 ikushima jun プロフィール

1967年生まれ 宮城県気仙沼市出身
スポーツライター
早稲田大卒業後、博報堂勤務を経て1999年に独立。
陸上競技、ラグビー、アメフト、卓球、水泳、
MLBなどアメリカプロスポーツを中心に取材。
オリンピック、世界陸上、ラグビーワールドカップなどを現場で取材し、
Number、陸上競技マガジン、新聞、テレビ、ラジオなどで数多く発信している。

著書
「箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ」
「奇跡のチーム ラグビー日本代表、南アフリカに勝つ」
「ウサイン・ボルト自伝」(訳書)
「どんな男になんねん 関西学院大アメリカンフットボール部 鳥内流「人の育て方」」(共著)

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