優希の胸の内【未公開インタビュー】
今年4月から始まった「あすリートPlus」(読売テレビ、毎週日曜6ː00~放送(第4週を除く))で放送された「涙は生まれ変わるためのもの 久光スプリングス 石井優希(9月4日放送)」。
リオオリンピック、東京オリンピックと2度の五輪出場を経験、そしてVリーグ制覇を通じて、石井優希(いしい・ゆき)選手が感じた【バレーボール人生への想い】とは?
幾多の苦しみを乗り越え、辿り着いた【現役続行への決断】までの道のり、放送未公開のインタビューを交えて振り返ります。
不安抱え挑んだ東京五輪―ふがいなさとやりきった気持ちの狭間で
「自分の気持ちと体のギャップがすごくあって…。そこが苦しい。」
―東京オリンピック開催延期の発表から半年後の2020年9月、涙をこらえ、番組インタビューに素直な心境を明かしてくれた石井選手。
その後、東京五輪日本代表入りを果たすも、自身のコンディションが整わず、葛藤の日々が続きました。
(石井)「東京オリンピックの時は、正直、自分が12名の最終メンバーに選ばれたんですけど、自信があるといったら、嘘だけど…。それでも、選んでいただいたことには理由があったはずなので、その時の自分ができる全力を出そうと思って戦っていました。」
そんな思いをよそに、東京オリンピックが開幕。アスリートたちがさまざまな思いをぶつけるかのように躍動し、メダルラッシュに沸いた日本でしたが、バレーボール女子は予選リーグでの敗退となり、夢の舞台は悔しい結果に終わりました。
(石井)「結果としては10位で、本当に不甲斐ないし、予選敗退って…数十年ぶりだったので、本当に申し訳なさは残っています。でも、東京オリンピックを目指してきた過程は、すごく大事にしたかったし、そこの場で自分が悔いなく、集大成として挑んだ東京オリンピックで(現役生活を)終えようっていうのはずっと思っていたので、やりきったっていう思いもありました。」
もう、バレーボール疲れたな―現役続行に揺れる日々を越え、掴んだ光ー
東京オリンピックを終えて、一時は現役引退の道も考えた石井選手。たくさんのプレッシャーと葛藤を乗り越えた心に、さまざまな感情が渦巻いていた当時の心境を、このように振り返ります。
(石井)「本当に(気疲れが)あって…。【もう、バレーボール疲れたな】という思いもありましたし、このまま引退してもいいのかなという気持ちも多少はあったんですけど…。一度、実家に帰らせてもらって、お休みをもらった期間で、考え方を変えて、【あと何年できるかわからないバレー人生を、素直に楽しもう!】と、素直に思えたので。それが今シーズンの結果(2022年Vリーグで3シーズンぶりの優勝)や私自身のモチベーションに繋がって、凄く楽しい半年(シーズン)になったなと思います。」
ひっぱるより、押し出す―【第二の石井優希】でチームの安心材料に
苦しみを乗り越え、所属する久光スプリングスを、3シーズンぶりのリーグ優勝へと導いた石井選手。
かつて流した涙が笑顔に変わったその瞬間、最年長エースとしての在り方やバレーボールに対する【心境の変化】があったといいます。
(石井)「私の競技人生は、昨シーズンもそうだったんですけど、自分がメインで試合に出るより、ここぞ!という時に頼られて、仕事ができる選手でありたいなと思っているので。第一線で…とかではなく、チームの安心材料でいたいなと思っています。やっぱり、東京オリンピックを経験して、今までは自分がやらなきゃ!という気持ちがすごくあったんですけど、振り返った時に、私はどちらかというとメンタルも強いほうじゃないですし、引っ張っていくタイプでもないので…。あと、(チーム)最年長にもなったので、見守るというか…引っ張るより、押し出すとか…。自分には、そういうほうが向いてるのかなっていうふうに気づいて。以前は、欲があったので、【自分が誰よりも点数を取りたい!】というふうにずっと思ってやってきたんですけど、それだけが仕事じゃないなっていうふうに気づいたのが、昨シーズンのプレーにも繋がったので。【これでいいんだ!】っていうふうに思えたら、すごく楽になったし、【第二の石井優希を見つけたな】と思えて、今は、また楽しくバレーボールができています」
「1年1年の区切りで、いつ辞めても後悔しないシーズンにしたいなと思っているので、あと何年(現役続行)というのは、決めていないです」と語る石井選手。
葛藤や迷い、不安に押しつぶされそうな日々を越え、産声をあげた【第二の石井優希】。積み重ねた現役生活にフレッシュな気持ちを吹き込み、第二のバレーボール人生へと歩みを進めます。
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