毎年12月26日~28日に行われるJOCジュニアオリンピック全国都道府県対抗中学バレーボール大会。
今年も全国47都道府県から48の選抜チームが参加。師走の大阪で熱戦を繰り広げました。
未来の日本バレーボール界を担う若い才能を発掘することを目的とした中学生年代のこの大会では、毎年、将来有望な若いバレーボーラーたちが一堂に会し、将来の日の丸を背負って活躍する姿を想像させるようなトップレベルのプレーを見せています。
28日の大会最終日には決勝戦が行われ、女子は東京都選抜が3年ぶり11度目の優勝。男子も東京都選抜が昨年に続き連覇を果たし、東京都選抜がアベックで日本一に輝きました。
この男子決勝戦の模様を、あすリートチャンネルのライブ配信で解説を担当した日本バレーボール協会会長の川合俊一さんに、熱戦を見届けた放送席で大会の感想、そして会長としてバレーボールの普及につながるプランをお聞きしました。
放送席から見たJOC中学バレー
--男子の決勝戦をご覧になって率直にどのような感想でしょうか?
私、久々に大会見たんですけども、まあ毎年毎年と言うか、レベルが高くなってて本当にびっくりしましたね。我々の、少なくとも中学の時と比べると、もう雲泥の差で本当にパワーとか高さとか、あと守備のうまさですよね。その辺がものすごくレベルアップしていて、ちょっと驚きましたね。
--川合会長は中学生からバレーボールを始めたということですが、当時と比べて違いは感じますか?
いや、まずネットをあの高さ(男子2.43m、女子2.24m)でやるというのはすごいんですよ!やっぱり昔の中学生はもうちょっと低いネットでやってたんで、そのあの高さでしっかり打っていける選手がたくさんいるというのもあります。※本来の中学バレーの高さは男子2.30m、女子2.15m
あと守備ですね。ファーストレシーブがダブルコンタクトOKになったんでね。やっぱり守備がうまくなっていて。男子の試合でもすごくラリーが続く。そういった意味でいうと、もう昔と比べると圧倒的に守備力が上がっているていうのを感じてますね
--将来を期待させる選手はいましたか?
いや、もう色々な選手が気になってます!あとはね、やっぱりバレーボールって身長が最終的にちょっとモノを言うスポーツですので、あまり筋トレをせずに身長を伸ばすことを努力してもらって。僕も中学3年の卒業は183センチで、高校で193になったんで。ガリガリの体に筋肉つけちゃうとなかなか身長が伸びづらくなるので。筋トレをするより身長を伸ばすという努力していただくと、将来的に日本代表に入ってこれるということだと思いますので、ぜひ背を伸ばす努力をしてもらいたいと思います。
JOC第36回全国都道府県対抗中学バレーボール大会 特別表彰選手
日本代表への期待とバレーボールの普及
--昨年の東京五輪、今年の世界選手権での日本代表の活躍をどうご覧になっていますか?
大変素晴らしいと思います。特に女子に関しては、昨年オリンピックで予選敗退して、もうバレー界的にはもうどうなっちゃうんだろうか、ちょっと日本の女子は落ちていく感じなのかなって思っている中で、眞鍋政義監督に代わったってこともありますし、新しい選手も出てきたということもありますけども、グッとね。世界選手権でも物凄い女子活躍して、もうちょっとでベスト4みたいな戦いをしてくれたんで。そういった意味では本当に期待してます。
男子はですね、実力も素晴らしいんですけども、人気のある選手たちが出てきましたんで。人気実力ともにレベルアップしていると思いますんで。来年から本当に期待できるチームになっていくんじゃないかと思うんですね。
--日の丸を背負う選手になるために、中学生年代の選手にはどういう成長を望みますか?
しっかりとね。バレーを真摯に受け止めて。練習がやっぱモノを言うんですよ、練習をしっかりこれからやって。バレーボールっていうのはワンバウンドさせちゃいけない競技で、相当難しい競技なんです。でも、それっていうのは毎日コツコツコツコツ練習して積み上がったものが、やっぱり最終的にプレーに出てるって思いますのでね。
また、考えながらやるプレーもありますけども、瞬間的で判断するプレーというのは、日々練習しないと、なかなかねできないプレーなので。そういったものを力をつけるにはもう本当に練習だと思いますんで、トップ選手目指して一生懸命練習してほしいですね。必ず今日の大会の中から日本代表になるという選手は現れると思いますので、是非一人でも二人でも、多くの選手がこの大会から出てきてもらいたいと思います。
--トップレベルを目指すだけではなく、多くの人にはどのようにバレーボールに接してもらいたい?
バレーボールって、発祥はアメリカなんですけども、「大衆が楽しくレクリエーション的にボールを使って難しくない、ボール一個でできる。」そういうスポーツだということで始まったので。チームワークがよくないと試合にもならない、難しいプレーの連続のスポーツなので。そういった意味ではやっぱり原点に返って、楽しみながらやっていただく方がやっぱり長くできると思います。
ママさんバレーの皆さんはみんな楽しくやってるじゃないですか。楽しんでやる、その中で勝ち負けが結果的についてくるみたいなね。勝利至上主義じゃなくてね。特に若い中学生あるいは小学生とかは、指導者の方もまずは「楽しんで、好きになってもらう」。そういったチーム作りを心掛けてもらいたいと思います。
--バレーボールのすそ野を広げるために、川合会長のプランがあれば教えてください
まずね、4人しかいないというバレー部があったりするんですよ。それで「チームできないんですが、どうしたらいいんですか?」っていう点で質問されるんですけど、バレーボールには、バレーボールもあればビーチバレーボールもあると。そうすると4人いれば2チームできるんですよね。たくさんの人が試合出たい。じゃあ9人制バレーの大会もあります。その人数あるいは何をやりたいかによって選択できるので、そういった意味でいろんなカテゴリーのあるスポーツです。陸上で言えば100m、200mやりたい人も、800mもマラソンもあるようなもんで、9人制と6人制とビーチバレーも、あとは他にも4人であったりとか、いろんなカテゴリーでありますので、バレーボールを楽しみたい方はそういうで楽しんでもらえればいいです。
一方で、やっぱりトップチームでやっていきたいっていう人たちは、もう激しいところでやって、いろんなカテゴリー、それぞれの目指すところがあるスポーツだと思ってますので。そういった意味で広い裾野がありますんで、そこでいろいろな自分に合ったものを選んでやって頂けると裾野が広がっていくんじゃないかと思いますね
川合俊一(かわい・しゅんいち)プロフィール
1963年2月3日 新潟生まれ
元バレーボール全日本代表 主将
身長 195㎝
ポジション センター
中学生からバレーボールを始める。
日本体育大学時代から全日本代表入りし、ロサンゼルス、ソウルオリンピックに2大会連続出場
現役引退後は日本人初のプロビーチバレー選手として活躍
2007年4月 日本ビーチバレー連盟会長に就任
2022年3月 日本バレーボール協会会長に就任
試合アーカイブ
女子準決勝 東京都選抜vs埼玉県選抜 岡山県選抜vs福岡県選抜
男子準決勝 静岡県選抜vs新潟県選抜 東京都選抜vs兵庫県選抜
女子決勝 東京都選抜vs岡山県選抜
男子決勝 静岡県選抜vs東京都選抜
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