

多田「「挫折や苦しいことが多かったけど、佐藤コーチを信頼してここまでやってきた。」
7月、住友電工本社での記者会見で多田修平選手は言いました。
「挫折や苦しいことが多かったけど、佐藤コーチを信頼してここまでやってきた。道は間違ってなかったんだと感じている」
日本選手権100mで悲願の初優勝を果たしオリンピック代表に内定した多田修平選手(住友電工)、
大会最終日、多田選手を学生時代から指導する佐藤真太郎さん(40=大東文化大短距離ブロック監督)に話を聞きました。
ー多田選手の日本選手権優勝、そしてオリンピック代表内定おめでとうございます!
今まで辛い時間があったので、いろんな困難を越えて、オリンピックのチケットを取ってくれて嬉しい気持ちでいっぱいです。
やるべきことはやってきた、今までやってきたことを信じるしかないので、本人もわかってたと思いますし、私たちも信じて待つしかありませんでした。
ーここまでの3年間を振り返って思うことは?
多田を取り巻くスタッフ、いろんな方々にお世話になりました。
特にトレーナーの小西達也さんにはお世話になって、大阪と東京の往復をしてもらいながら治療に当たってもらい、ケガの予防をしながら大会を迎えられたのでトレーナーの力は大きかったです。
ー多田選手の改善点について
見ての通り後半が弱いという課題があったので、様々な面からのアプローチを試みました。
重心の移動をどうやってスムーズにするか、上に浮かないで前に進むのかっていうテーマでトレーニングをいろんな方法でやりました。
ー予選、準決勝を見てどう感じてましたか?
状態がいいのはわかっていましたし、元々状態が良くなるようにトレーニングサイクルを組んでいるので調子が上がってくることはわかってました。
一つ前の布勢スプリントからさらに状態が上がって、この日本選手権を迎えることは分かっていました。
ただ1つ問題は、速く動ける中で、故障をいかに防ぐのか、そこに問題がありました。
ー足がつりかけたという情報もありましたが…
実際に脚が速くなっていく過程、徐々に出力が上がっていくっていう段階では、足がつったりとか、筋肉が痙攣するっていうことがよくあります。
ピーキングがうまくいけばいくほどそういった課題には直面するので、調子が良い中でいかに故障させないで、うまく走らせるのかっていうことが重要なポイントです。
足のハムストリングスにかなりダメージがあります。速いスピードで動くので、準決勝だけじゃなくて決勝前もすでに足のハムストリングスの状態はギリギリの状態だったんです。
ケアの小西トレーナーの適切な処置によって、パフォーマンスがしっかり発揮できたと思います。
ースパイクが破れてしまったと聞いたのですが…
スパイクが準決勝で破れてしまったんです。
決勝の朝、住友電工の原マネージャーが東京から朝に倉庫からピックアップして持ってきてくれたので、なんとか走らせることができました。
予備スパイクはあったので大丈夫だったんですけど、強度が落ちているスパイクだったりとか、今回履いている新しいスパイクではなく、旧式のものだったので。
本当に使いたいスパイクが使えなくなって、そこで100分の1秒2秒落ちたら困るので、連絡をして持ってきていただいた。
助かりました。
ーいろいろと不安なところもあった?
不安な部分はあげればキリがない。最後は度胸だとだと思うので、そのへんは大雑把に頑張らせました。
ー決勝レースの勝因はどこにあると思われますか?
多田自身がどれだけこの試合で勝ちたかったか、そしてここに懸けてきたかっていう気持ちの強さ、気持ちの強さが、地元っていうエネルギーを受けて、
ここでどうしても勝ちたいと彼自身が感じて、周りの人たちも勝ってもらいたいというエネルギーが彼の中にとりこまれて、非常に高い集中力、彼が1番集中したんじゃないかなと思います。
ー多田選手のスプリンターとしての魅力は…
人間性も含めて自然体。
彼の陸上100mに対する熱意がすごいです。
ー伸び悩んでいた時期もありましたが…
極めて自然体で、辛い部分を周りに見せないで、周りにそういうところを感じさせない。
いつも明るくてニコニコしているような、我慢がきくという人間性を持ってますね。
ー多田選手の走りの特性をどうとらえてますか?…
彼のスタートの特徴は彼自身の足首の強さと瞬発力から生み出されるんですけど、それだけじゃなくて体の連動性、
上半身と下半身のムチ動作のような連動性が極めて高い。連動性の高さが強い接地とか強いスイングを生んでますね。
ー他の選手には真似できない動きですね
習得できないわけではないんですけど、速いスピードであの前傾角を保てるかと言われるとそれは違って、個人個人の瞬発力とか進入する角度とかスピードのバランスが存在すると思います。
極端にやると転びますね。
ーおよそ一ヶ月後のオリンピックに向けて期待することは…
本当に走れてるし、自信もっていきなさいと言ってます。
彼らしい、彼自身の全力を出せるように、先行逃げ切りの気持ちいい走りを見せていただきたいなと思います。
彼の才能、人間性も含めて、さらにあとは身体的な能力、すべてにおいて世界の基準に達する素質を持っているので、
全然夢物語でもなんでもなくて、世界で戦えるそういう選手だと思います。
多田が世界で通用する人材であることは間違いないです。
佐藤 真太郎 SHINTARO SATO プロフィール
(大東文化大学陸上競技部ホームページより)
埼玉県出身 早稲田大学卒 40歳
大東文化大学スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科 准教授
スプリント、ジャンプ系トレーニングのスペシャリスト。現役時代は100mから400mまでこなすマルチスプリンターとして活躍。
2004年国体優勝、日本選手権リレー4×100mR選手権者。陸上競技引退後はボブスレー日本代表として2014年ソチオリンピック出場という異色の経歴を持つ。
日本陸連U-19強化育成部普及育成部委員。
ポリシーは“大東文化大学から世界へ”。高校教諭を経て2009〜2017年男女短距離ブロックコーチ 2018年より現職
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