投てき界の新星ー巖優作 ビッグスローで世界を目指す
本格的なトラックシーズンを迎えている陸上競技。トップを走る選手にとって、日本代表に選ばれることは、一つの大きな目標だ。様々な思いを胸に、世界大会をめざす関西の学生アスリートたちに注目した。
まず、世界の切符を手にしたのは、投てきの巖(いわお)優作。2020年、東京オリンピックが延期となった3年前の夏、その舞台となるはずだったスタジアムでビッグスローを見せたのが、当時尼崎市立尼崎高校3年生だった巖。
74メートル29という高校歴代2位の記録をたたき出した。ロンドンオリンピック入賞のディーン元気選手は同じ高校の先輩。巌にとって兄であり、師匠のような存在だ。
(巌)「いまの時点ではあこがれの人なんですけど、将来的にはやっぱり抜かせるような選手になりたいと思っています。」
2年間の沈黙破り完全復活!学生日本代表内定
大学では度重なるケガで2年間沈黙するも、今年、その大器が覚醒した。4月に行われた日本学生個人選手権では、記録会で80メートル09を投げ、ワールドユニバーシティゲームズの派遣標準をクリアした。
真価が問われる大会、4投目、大きく記録を伸ばし77メートル53、この時点でトップに立った。5投目も77メートル88と投げるたびに80メートルラインに近づく。6回目の最終投てき、巖はスタンドに手拍子を要求し、自らを鼓舞する。
雄たけびを上げ放ったヤリは80メートルラインにはわずかに及ばなかったが、79メートル27を記録。ビッグスローを連発し、大学生となって初めての全国タイトルを獲得した。試合後、いい投げが出来たと満足そうな巌。今シーズン好調の要因を聞いた。
(巌)「2月の中旬からディーン元気さんとスペイン合宿に行かせてもらって、そこでフィンランド人コーチの指導を受けて、右肩上がりに良くなりました。いいところをつかめて、つかめたところを伸ばして伸ばしてという感じで。6月の日本選手権でしっかりトップ争い出来るように。もっと安定性を高めていきたいですね。代表に選んでもらったら、ユニバーシティゲームズで3番以内を狙えるように頑張りたいなと思います。」
この優勝で“学生のオリンピック” と言われるワールドユニバーシティゲームズ、初の日本代表に内定した。
去年の悔しさ晴らす!代表内定かけ、無敵のハードラーが再び世界へ挑む
滋賀県出身、立命館大学3年の山本亜美。400メートルハードルで日本選手権2連覇を遂げた関西が誇る無敵のハードラーだ。しかし去年、日本代表のかかった学生個人選手権ではライバルに敗れ、代表のチャンスを逃した。
(山本)「去年を思い出すと、負けて悔しくて泣いてたっていう記憶で終わっちゃってる」
リベンジのチャンスとなった今年の学生個人選手権。決勝まで順当に勝ち進むも、予選は2位、準決勝では5位と、納得のいくレースができないまま迎えた決勝前日、彼女を目覚めさせる出来事があった。女子400メートル決勝に出場した同じ大学の後輩、児島柚月がラストスパートで2人を追い抜き逆転優勝を果たした。
(山本)「1年生やのに。あんな落ち着いて走ってて、凄いなって思いました。明日の決勝は自分が優勝して、みんなに刺激を与えられたらいいなって思います」
日本代表をかけた決勝 日本チャンピオンが魅せた圧巻のレース
後輩の活躍で奮い立った日本チャンピオン山本亜美。迎えた翌日の決勝。序盤は去年敗れたライバル、青山学院大学の青木穂花がトップにたつ。残り200メートルを切ったところで山本は徐々にスピード上げ、第4コーナーで2位につけた。最後の直線。先頭を走る青木との差を一気に縮め、ついにトップへ。その差をどんどん広げ、見事優勝!会心のレースを見せた。
(山本)「満足です!去年負けて、悔しい思いして泣いてたっていうイメージで終わってる大会なんですけど、今日は優勝出来て、タイムも良くて、いい思い出の大会にすることが出来て、よかったかなと思います。代表に選んでくださいっていう、それだけですね。そう思って走りました。」
リベンジを果たし、初めての日の丸に向け、いいアピールが出来た今大会。圧巻のレースで、派遣標準もクリアした21歳の女王がワールドユニバーシティゲームズ代表内定を勝ち取った。
大芸大・北川星瑠 大学最後の年「自分の力を試したい!」
大阪芸術大学4年の北川星瑠(ひかる)は、先月行われた日本学生女子ハーフマラソンで優勝。ワールドユニバーシティゲームズの日本代表選考となるこの大会で、北川は大学生ランナーの熾烈なサバイバルに勝ち残り、ひと足早く内定を勝ちった。
代表の権利をもって臨んだ学生個人選手権の一万メートルでは、積極的な走りで集団を引っ張る。後半の優勝争いにも残り、3位でフィニッシュした。
(北川)「ことしは大学4年生で最後の年になるので、出来るだけ色んなところ、 全国大会であったり、レベルの高い大会に出て、自分の力を試して、いい順位がとれるならと今回は出場させてもらいました。」
自分の力を試す。それは大会最終日の5千メートル決勝でも同じだった。自らレースを作り、留学生ランナーが飛び出せば、ただ一人追った。果敢なタイムアタックは6位に終わったが、収穫のあるレースだった。北川はこの夏、持ち前のアグレッシブな走りで世界に挑む。
関西の学生アスリートが躍動!フレッシュな日本代表が続々と誕生
女子長距離では大阪学院大学の永長里緒が日本学生女子ハーフマラソンで準優勝し、初の日本代表となった。同じく長距離の立命館大学3年、新キャプテンの村松灯((とも)も、5千m、1万mと安定した力を見せ、代表デビュー勝ち取った。
(村松)「ジャパンのユニフォームはすごい憧れでもあるので、絶対に代表になりたいという思いで走りました。」
短距離では園田学園女子大学の三浦愛華が、学生個人選手権100メートル準決勝で11秒53の自己ベストを更新する会心の走りを見せ、派遣標準記録を突破し、代表に内定した。学生個人選手権 200メートル決勝は、甲南大学4年の井戸アビゲイル風果がライバルを抑えて快勝!日本代表に内定した。
そして女子3段跳び日本歴代3位の記録をもつトップジャンパー、武庫川女子大学大学院生の船田茜理(ふなだあかり)もワールドユニバーシティゲームズで初の世界大会に挑む。戦う相手は世界のトップアスリート。自分を信じ、限界を突破したその先には、無限の可能性が広がっている。
毎週日曜日 あさ6:00 読売テレビ地上波で放送
新番組 「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、
2022年4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
「あすリート」の3分では伝えきれない物語や密着映像、また、これまで地上波で観られなかった陸上の関西インカレ、高校サッカー、ボーイズリーグ、中学バレーなどのスポーツ配信サービス
「あすリートチャンネル」の中継コンテンツのダイジェスト版も「あすリートPlus」で放送していく予定です。
土曜放送の「あすリート」のファミリー番組として日曜放送の「あすリートPlus」をお楽しみ下さい。
学生陸上の特集です。
アスリートにとって日本代表として世界大会に出場することはひとつの大きな目標。
やり投げの巌優作(筑波大)はディーン元気選手と同じ市立尼崎高校出身、4月の記録会で80メートル09を投げ一躍トップ選手の仲間入りを果たしました。
また400mハードルの山本亜美(立命館大)は日本選手権2連覇の実力がありながら、日本代表になったことはありません。
6月末から開催する“学生のオリンピック”と言われるワールドユニバーシティゲームズ(旧ユニバーシアード)、
その日本代表の座をかけ、関西出身の選手たちが選考会に挑みました。
番組ナビゲーターはバレーボール元日本代表の迫田さおりさん
ー 関連動画&記事 ー
▢ あすリートPlus 関西から世界へ!陸上競技・ワールドユニバーシティゲームズをめざす女子学生アスリートたち
(読売テレビ「あすリートPlus」2023年4月30日放送)
おすすめ記事
- 第533回 2025年2月1日放送
- 【阪神タイガース】 一流への分岐点 大竹耕太郎(29)
~ ‘’真価が問われる3年目‘’に迫る ~