「プロ初の開幕1軍 勝利の方程式へ」

今シーズン阪神タイガースで大車輪の活躍を見せる湯浅京己(あつき)投手、23歳。プロ4年目にして初の開幕1軍を勝ち取ると、シーズン途中からは試合終盤を任され、勝利の方程式としてチームを牽引しています。

（湯浅）「いい場面で投げさせてもらうようになってから、少しずつ自覚は出てきたと思います。
真っ直ぐが自分の中では一番の持ち味だと思っているんで、バッターが分かってても打てない真っすぐっていうのを目指してやっています。」

そう力強く語る右腕は、自分の可能性を信じ、日々マウンドに向かいます。

「耐え抜いた苦悩の日々」

7月にはオールスターにファン投票で選出され、スター街道を歩む湯浅投手ですが、プロへの道のりは決して順風満帆なものではありませんでした。

三重県・尾鷲市出身の湯浅投手は地元の高校には進まず、甲子園常連校の福島・聖光学院に入学。しかし、そこで待っていたのはケガとの戦いでした。入学直後に腰を痛めてしまいプレーができない毎日、マネジャーも経験し、先の見えない苦しい日々を過ごしました。

（湯浅）「最初歩けないぐらい痛い時もあったりして、福島まで何しに行ったんだろうと思った日もありましたし、野球をやめたいと思った日も、もちろんありました。」

高校卒業後は、独立リーグの富山GRNサンダーバーズに入団。大学進学や社会人チームに所属するなどの選択肢がある中、独立リーグという舞台を選びました。そこには、彼なりの考えがありました。

（湯浅）「1年でNPBに入れる最短がその道だったので、独立リーグに行きたいと思いました。食事面だったり、トレーニングするにしてもやっぱり場所とかも限られてくるので、今思えば本当に何から何まで大変だったなと思います。」

恵まれた環境ではない中、絶えまぬ努力で力をつけていった湯浅投手を見出したのは、阪神の筒井和也スカウトでした。

（筒井）「もちろんボールも良かったですけど、マウンドでの姿、表情から出る気、というかオーラというか。一番ビビッときましたね。その試合中に部長に電話で【どうしても見て欲しいピッチャーがいます！】と連絡したんですけど。それは初めてのことでした。」

筒井スカウトの熱い思いもあり、湯浅投手は独立リーグに入団した2018年のドラフト会議で、阪神からドラフト6位指名を受けました。今でも我が子のように気にかけてくれる筒井スカウトには、湯浅投手も感謝がつきないようです。

（湯浅）「頻繁に連絡もくれたり、すごい心配してくれて。中野さん（中野拓夢選手）も担当スカウトが一緒なんですけど、よく一緒に【筒井さんに恩返ししよう】って話しながらプレーしています。」

「チームの柱へ」

今シーズンはすでに30ホールドを挙げ、チームに欠かせない存在へと成長を遂げた湯浅投手。しかし、決して満足することはありません。

（湯浅）「まだまだ勉強というか、毎日が学ぶことばかりなので。悔しい経験もありますが、そういったものを全て糧にしてもっと成長していければなと思ってます。」いばらの道を乗り越え、辿り着いた夢の舞台。若きリリーフエースが、感謝の思いを胸にチームを勝利へと導きます！

（読売テレビ「あすリート」8月27日放送）