【あすリートPlus】 プロ野球選手になりたい!夢掴み、新たなスタート切ったルーキー
才木海翔(オリックス・バファローズ)&林優樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)
2022年12月29日 / 野球
2022年12月29日 / 野球
年末、プロ野球界では、2023年度の新人選手入団会見がおこなわれ、ルーキーたちは、各球団のまっさらなユニフォームに身を包み、きりりとした表情で新たな門出の舞台に臨みました。
その中に、以前、あすリートPlus(読売テレビ)で紹介した才木海翔(さいき・かいと)(大阪経済大学 オリックス・バファローズ育成2位指名)投手、林優樹(はやし・ゆうき)(西濃運輸 東北楽天ゴールデンイーグルス6位指名)投手の姿もありました。
ドラフト会議が行われた2022年10月20日当日、手に汗握り、運命の日を迎える才木海翔投手にカメラが密着していました。
(才木)「眠れはしなかったですね。寝て起きて、寝て起きて…していました。飯が喉通らんって、ホンマ、こういうことなんやなって感じましたね」
最速153キロの腕前を誇る才木投手。【プロ野球選手になりたい】―その一心で野球とボールに想いを込め、挑み続けた1年でした。
(才木)「普通の就職活動はしていないです。僕には向かないので。スーツ着てピシッとするとか…。(そういうことが)できない分、野球でカバーできたらいいなと思って、今までやってきたので」
【就活中!!無限の可能性】―グラブに刻んだ熱い想いを胸に、2022年3月、オリックス・バファローズとの練習試合から、才木投手の就活が始まりました。
指名打者に球界最高のバッター・吉田正尚選手を迎え、自慢のストレートを投げ込みます。
(才木)「自分はどのくらい通用するんやろうな、っていうふうに考えて、ストレート中心でいきました。自分のまっすぐで抑えられたっていうのは、自信になったなと思いました」
春先の自信を胸に、迎えた6月。関西オールスター5リーグ対抗戦では、優秀選手賞を獲得。
(才木)「ドラフト5位でもとってもらおうとしても無理やと思うので、目指すは1位で(指名が)かかればいいかなと思います」
ところが、迎えた秋のリーグ戦では、10月におこなわれるドラフト会議のプレッシャーからか、才木選手本来のストレートが姿を消します。「本当に指名されるのか…」―柄にもなく、才木選手の口からは、そんな言葉もこぼれるようになりました。
(才木)「選んでもらえるんやったら何位でもいいです。選択終了やったら、マジでヤバいなって思って…」
才木投手の【プロへの就活】が最終局面を迎える、10月20日午後5時。運命のドラフト会議が始まりました。第1巡選択希望選手から、各地で指名を受けた選手たちが無数のフラッシュを浴びる中、才木選手の名前は一向に呼ばれることなく、選択終了を迎えます。
しかし、一縷の望みをかけ、育成選手での指名を祈ります。そして、ドラフト会議から約2時間半たった頃、オリックス・バファローズから育成選手2位として、才木投手の名前が会場内に響き渡りました。
(才木)「正直、半分、もうないんちゃうかなみたいな…。諦めていた時に、選んでいただいたんで。この恩っていうのは、自分の結果で返さないといけないと思うので、これから頑張ります。ここから這い上がるんで。絶対、やったるっす」
ドラマチックな展開で幕を閉じた、才木投手の就活。運命の最終局面から1週間後。指名の舞台裏を、オリックス・バファローズの谷口悦司スカウトが、あすリートPlusだけに語ってくれました。
(谷口)「吉田正尚を抑えていましたし、本人からもストレートは本当に良かったと聞いていたので、支配下になれる力は十分に持っていますし、期待しております」
【あのストレートはプロで通用する】―ことし、オリックス・バファローズでは、育成選手出身の宇田川優希選手が大ブレーク。幾度となくチームのピンチを救い、26年ぶりの日本一奪還への原動力となりました。
(才木)「宇田川さんとか、めちゃカッコいい!」
才木投手の背番号は【031】。無限の可能性を秘めた育成の星は、新たな目標に向かって、歩み始めようとしています。
(才木)「今は(背番号が)031で、育成選手っていうので…。でも、自分の頑張りだけで這い上がれると思うので、ホンマに死ぬくらいの勢いで、練習を頑張りたいと思います」
同じ頃、岐阜県大垣市にある社会人野球・西野運輸のグラウンドで喜びを爆発させる選手がいました。東北楽天ゴールデンイーグルスから6位指名を受けたサウスポー・林優樹投手です。
(林)「5巡目になって…もうヤバかったっすよ、マジで。あの瞬間だけには戻りたくないです。やっと終わった、マジで解放された」
それもそのはず、林投手は高校卒業から3年間、1度きりの野球人生を懸けた戦いに挑み続けてきました。
(林)「指名されなかったら、区切りつけるかつけないか、1回考えようかなって正直、思っていました」
3年前、甲子園に華を添えた近江高校のエースとして活躍した林投手。高校日本代表にも選出され、プロ入り有力視の高校球児として、注目を集めました。しかし、ドラフト会議当日、その名前が呼ばれることはありませんでした。
(林)「こんなにも応援してもらってるんだな、とすごく感じたので。3年後、プロの世界に行って、成長した姿を見せたいなと思います」
3年前のドラフト会議後、涙ながらに力強い言葉を残した林投手。【悔し涙をうれし涙に変える】―その思いを胸に、西濃運輸へ入社しました。
入社後も度重なるケガとの戦いを余儀なくされます。越えるべき厚い壁が、何度も林投手の前に立ちはだかったものの、課題としていた球速は10キロ以上もアップ。社会人屈指の投手へと成長を遂げました。
心身共にパワーアップし、満を持して先発を担った強豪・トヨタ自動車との一戦(2022年6月5日都市対抗東海地区二次予選)。【誰もが納得する結果を残す】―そう心に決め、挑んだ大一番でしたが、持ち味のコントロールが乱れ、わずか2回で降板。チームも一戦に敗れ、またも悔し涙に暮れました。
(林)「やっと掴んだ先発だったので、不甲斐ない結果に終わって、すごく悔しいです」
悔し涙から1か月後の7月、東京ドームでおこなわれたENEOSとの社会人野球最高峰の一戦。幾度となく味わった悔し涙のリベンジに燃える林投手は、圧倒的な輝きを放ち、東京ドームの地に勇姿を刻みました。
(林)「東京ドームのマウンドで結果出すために社会人野球をやってきたので、今、自分の持っている力は出せたんじゃないかなと思います」
【人事尽くして天命を待つ】-そんな心持ちで迎えた3年越しのドラフト会議当日。会社の一室で運命の行方を見守ります。重い緊張感が林選手にのしかかる中、静寂を切り裂くかのように呼ばれた名前、それは自身の名前でした。3年間の努力と成長が結実した瞬間を物語るかのように、林投手の目から、熱い涙があふれます。
(林)「こんなにも応援されてるんだなって、つくづく思いました。プロの世界に行っても、そういった人たちを大切にして、また応援してもらえるように、頑張っていきます」
11月23日、林投手の姿は宮城県仙台市にありました。【背番号64】が刻まれたユニフォームに身を包み、新入団選手発表会見に臨みます。
(林)「ユニフォームに袖を通して、すごく実感がわいています。1年でも1日でも長く、プロ野球選手でいられるように、頑張っていきたいと思います」
プロの世界を追い求め、時に向かい風にさらされながらも、夢への切符を掴みとった、新時代のルーキーたち。【プロ野球選手になりたい】―幼き日の憧れ、そして夢を与える役目を担い、新たなスタートを切りました。
(読売テレビ「あすリートPlus」)12月18日放送)