【インタビュー】 体操 杉原愛子 リオから3年、世界標準へ進化は止まらない!

16歳で日本代表としてリオデジャネイロオリンピックに出場。
団体4位という28年ぶりの快挙に貢献した杉原愛子選手。
東京を拠点として活動していましたが、ことし4月、武庫川女子大学に入学、地元関西に戻ってきました。
今後は東大阪市内の実家から通学、次の大舞台TOKYO2020で二度目のオリンピック出場を目指します。

この7月、杉原選手はユニバーシアード(ナポリ)に出場し、団体で金メダルに輝きました。
個人総合では4位、種目別ゆかでは銀メダル、優勝の期待がかかった平均台では惜しくも4位…!
表彰台を逃しましたが、関西拠点でリスタートした19歳は世界と戦う実戦感覚を取り戻したようです。

杉原選手のInstagramはこちら

杉原愛子 AIKO SUGIHARA

1999年9月19日生 19歳 
大阪府東大阪市出身
武庫川女子大学 短期大学部在学中 
ことし秋の世界選手権代表
2015年 アジア選手権 個人総合1位 団体1位
2016年 リオオリンピック団体4位
2017年 世界選手権 個人総合6位
2019年 全日本種目別選手権 ゆか2位 ユニバーシアード団体1位 個人総合4位 種目別ゆか2位



6月12日、読売テレビ「あすリート」の取材で杉原選手と大野和邦監督にインタビューしました。
書き起こしを一部掲載します。

「ザ・関西人やな」って言われます


―関西に帰ってきたなと実感するところは?

やっぱり実家から通えるっていうところと、まわりから関西弁が聞こえてくるっていうところです。
関東におって自分がボケたりしても誰も突っ込んでくれへんから、「あっごめんなさい」って感じになって。(笑)
関西の人みたいにツッコんでくれないんで、わたしはツッコミもボケも結構両方するタイプなので “ザ・関西人やな” ってよく言われます。
(ボケが放置されるのはツライですね)


武庫川女子大学に入学、関西に帰って来ました。

16歳の夏 夢舞台


―リオ五輪の想い出は?

初めて、その憧れていた夢の舞台で演技できた事がすごいうれしかったし、
いろんな人に支えてもらってオリンピックに出られたので感謝の気持ちがすごいあります。

―思い描いていた舞台と違いは?

高1の時、代表に選ばれるとは全く思ってなくて、そこから、代表選手の自覚っていうのが少しずつ分かっていき
2016年の全日本、NHK杯では(リオ五輪に)絶対に出たいっていう気持ちがあったので、
ちゃんと代表選手に選ばれたことはすごくよかったと思っています。

―高校一年の時から“代表の自覚”はあった?

世界戦の前のアジア選手権ではあまりなくてジュニアのままだったって感じで、
終わって 怪我とかあって、その世界戦にも出られるか出られないかの状態で出させて頂いたので、
けががあったからこそ代表選手の自覚が少しずつ分かってきたと思います。

―日本女子体操チームにの思い出は…

やっぱりジュニアの時からみんな一緒に合宿とか遠征も行っていたので、
いい意味での楽しいわちゃわちゃしている感じで、ピリピリした空気はなくて、いいチームだったと思います。

―本番ではチームメイトによく声をかけてましたね

自分が声をかけてもらうと嬉しいしがんばれるので、自分がやってもらってうれしい事は人にやるようにしています。
やっぱりシーンと静まりかえった状態で演技するより声掛けてもらった方が力も出てくると思うし、
我慢するところで1人だったら、もういいかって諦めの気持ちも入っちゃうと思うので、
応援してもらったら頑張ろうっていって諦めずにできたりするので声かけはしています。   

―演技が決まった時、リアクションが大きいけどあれは自然?

もとから結構オーバーっていうかリアクションがすごい、ちょっとしたことでビビったりするので。
キャラっていうか、あれが自然です。(笑)

自慢の筋肉はハムストリングと臀筋


―なぜ武庫川女子大学を選んだ?

自宅から通えるところから体操に集中して東京オリンピックを目指すっていう気持ちが強かったので、
大阪に帰ってきて一番距離的にも近くて、いい指導者、大野先生に教えてもらいたいって気持ちがあったので、
武庫川女子大学を受験して入学しました。

―試合は関東や海外が多いと思うが、勉強との両立はどうしている?

やっぱり、大変です。
公欠が出ているんですけど、なるべく普通の公欠じゃなくても休まずに毎回出席して、
分からない授業とか抜けた部分は友達に聞いたりして教えてもらったりしています。

―3か月授業を受けてみてどうですか?

実技はそんなにないんですけどダンスの授業をやったり、水泳とかがあって、体を動かす事が好きなので
違うスポーツをするのはすごい楽しいし、自分の解剖学とか救急処置とかあるんですけど、
そういったところは今後にも役立つし、解剖学が特に今の競技にも生かせていけるので、勉強になっています。

―競技に参考になった授業は?

筋肉の名前とか、ここをどう動かしているとか、ですね。
救急処置とかは、滅多にないんですけども、買い物行っていて周りの誰かが突然倒れたとか、
そんなシチュエーションは滅多に無いと思うんですけど、そんな時にさっと処置できたらカッコいいなと。

―自分がすごいと思う筋肉はどこですか?

トレーニングとかしながら、例えば広背筋使ってやっているんだな とか ハムストリング使ってやっているんだなとか。
やっぱりその自分が怪我したところの骨とか、ここは靭帯もとか、そんな感じの。

―杉原さんの自慢できる筋肉はどこですか?

ハムストリングと、臀筋(でんきん)です。 
(臀筋:臀部(おしり)の部分全体の大きな筋肉)

武庫川女子大のキャンパスにて

家族全員が面白い


―久しぶりの実家(東大阪)はどうですか?

お母さんがご飯作ってくれているので、食事の面とか1人暮らしの時はひとりで家事とかもしていたので
そういった部分はやってもらえるし、駅までお迎えとかも来てもらっているので、すごい感謝しています。

―家族はどんな存在?

はい、家族すごい仲いいんで、落ち着くし楽しいです。

―家族構成は?

6人で、父さん、母さん、お兄ちゃん、姉ちゃん、私、おばあちゃんです。

―一番仲が良いのは?

やっぱりお姉ちゃんかな。

―いくつ違い?

4つです。

―帰るとリラックスできる?

はい、何か家族全員が面白いんで。
特にママがド天然ですごい面白いから、いつも笑いが絶えないです。

―しんどいことも忘れられる?

そうですねまあやっぱり、つらいとか練習でうまくいけへんかった時とか
よっちゃん、お姉ちゃんに相談したり、お母さんとかお父さんにも体操やっていたので、
どうしたらいいかなみたいな感じの事は相談とかします。

―家ではどう過ごしてます?

帰ってお迎え来てくれるときはごはんを車で食べて、帰ってもうお風呂入って寝るだけです。

―その繰り返し?

うん、そうですねやっぱ1年生なので朝の掃除とかがあるから早いんで、
できるだけ睡眠時間を長くするようにしています。

6月12日 武庫川女子大学の練習場にて

甲子園でタイガーターン


―甲子園で始球式をしたのはどういう経緯?

5月10日が武庫川デーで、それで学校代表で始球式をさせていただきました。

―あのターン投球は?

自分の平均台のオリジナル技がスギハラで、それが足持ち2回ターンだったので、
グラウンドで2回ターンはしてないんですけど足持ちターンをしてから投げました。

―緊張しました?

待っている間始球式始まる前までは、野球のボールも当日に初めて持って練習して、
最初は投げられなかったけど練習すれば届いて、結構いい感じに投げられたので若干緊張はあったんですけど、
始球式で名前呼ばれて歩いて立ったら、意外と楽しいかも、と思ってあまり緊張はしなかったです。

―スポーツ紙にタイガーターンと名づけられていたが?

あ、それ自分で言いました。

―え? 自分で名づけたんですか?

記者さんに「今日の技、名前を付けるとすれば何ですか?」って言われて、自分でタイガーターンってつけました。

―いいですね。

満点です!(笑)

―甲子園の反応はどうでしたか?

ああやっぱり私たちは体育館、中でやる競技なので、野球は外でやる競技だから、全然違う空気とかも全然違うし、
甲子園の広さと体育館の広さ全然違うからここで応援してもらってすごいと思うし、力になるなと思って、
ここで試合できることは幸せなんだろなと思いました。
今それ初めて言われたからそれまであんまり考えたことはなかったです。

進化版 “ニュー杉原” 始動!


―世界選手権出場が決まった今の気持ちは?

やっぱりすごい一安心、一言で言うとすごく安心しています。
でもNHK杯の構成やったら世界では戦えないので、
今月の西日本インカレからDスコアを上げて、跳馬以外の3種目の構成を変えて試合をしたので、
一応ノーミスでいい演技ができてチームでも団体優勝して、個人種目別も全部優勝できたので
すごいうれしかったし自信にもつながりました。
このあと、種目別とユニバーシアードがあるので、そこでまた質の高い演技をして安定した演技を
海外とか全日本で見せて、世界戦につながるような演技をしたいと思います。

―種目別選手権、ユニバーシアードではどういうテーマで試合に臨みますか?

一応その西日本インカレでは演技したけど、その全日本や世界の舞台では初めてやる構成なんで、
Dスコアを上げた構成でどう評価されるのかっていうところを課題にしていきたいなと思っています、

―平均台でここを見てくださいっていうポイントは?

自分の名前付けたスギハラ(足持ち2回ターン)をやるので、そこ決まったら ヨッシャ! って。

―段違い平行棒は?

段違いはマロニーからギンガーっていう技を西日本インカレから入れているので、
そこを棒をキャッチしたら、ウェーイって。

―ゆかは?

床はワールドカップでは伸身ダブルを使って失敗しちゃったので、そこは必ず立てるようにして、
いま床で優勝を狙っているので、応援して頂けるとうれしいです。

ー跳馬は?

跳馬はまだ分からないんですけど、2回ひねりが跳べるようなったらそこを見てほしいです。
決めるのは現地入りしてからなんですけど、挑戦したい気持ちはあります。
でも、怪我するリスクも高いので、これから大きな試合が多いしコーチと相談します。
攻めの演技構成にチャレンジしていきます!

―いよいよ東京オリンピックが来年ですね

そうですねやっぱりリオ終わってから4年間しかなくて。
でもう来年すごいその今の3年間すごい短く感じていて、あと1年しかないので、
そこでどうメダルに近づける、メダルが取れる、演技、選手になれるか、
やっぱり毎日の練習や1分1秒を大切にしていかないと東京オリンピックでのメダル獲得は難しいと思うので、
そういったところをちゃんと自覚してやっていかないとあかんかなと思っています。

―来年その舞台に立っている自分を想像してみてどうですか?

代表選考はまだ分からないんですけど、まずはちゃんと来年の全日本NHK杯で、代表選手に選ばれて、
東京オリンピックで出場したらやっぱり団体でメダル獲得をしたいって気持ちが一番強いので、
そういうのをシーンを想像してみます。

―メダルも手の届くところに来ているのでは?

リオでは4位で、あの3位と点差は大きかったんですけど日本が上に上がってきているっていうのはアピールできたし、
やっぱりあと1歩のところでメダルが取れないっていうのは4位だったので、
うれしい半面やっぱ悔しい反面があったので、東京では絶対にメダルが取れるようにという気持ちは強いです。

取材 ytv 森山正和ディレクター


現在、武庫川女子大学で杉原選手を指導する大野監督のインタビューです。

大野和邦 監督

1970年9月25日生まれ (48歳)
福井県出身
京都洛南高校〜日本体育大学〜日本体育大学大学院
日本体育大学の監督などを歴任、2015年4月 武庫川女子大学体操部の監督に就任 


「僕も高校から関西なので代表選手が関西出身で地元をベースにしているのは誇らしい」


―この3ヶ月、杉原選手を指導していかがですか?

そうですねもうとにかく、性格が明るいし、練習の取り組みも目的が明確にあると感じるので
すごくチーム全体としてもいい刺激をもらってて、毎日楽しませてもらってます。

―関西に帰って水に合っている?

そうですね、向こうでどうだったかよく分からないんですけれども、
やはり自宅から通えたり、母親の作る料理だったりそういった部分では安心感もあったり、
非常にリラックスできる空間があるっていうのはアスリートにとっては大事だと思います。
そこはすごくプラスになってるように思います。

―体操選手・杉原愛子のアピールポイント、強みはどこですか?

そうですねやっぱり動きがしなやかで、芸術性の非常に高い表現ができる選手で、
しかも力が、体の強さっていうのもそれなりに兼ね備えているので、
本当に日本を代表して世界と戦っていける素質を持った選手だなという印象ですね。

―体操選手には足が強いとか美しいとか表現がありますが…

彼女は両方持ってる貴重な存在なんじゃないかなと思いますね。
パワー系とか、しなやかっていうどちらかというより両方を一定レベル以上に持ってるバランスのいい選手だと思います。

―魅せられるというか...

そうですねあの表現力も本当に。
鍛えてる部分もありますけども、表情も表現も豊かで力強さもあるし非常にいいと思います。

強さと美しさのバランスがとれた稀有な選手と評価

―性格的にはどうですか?

明るいし、とはいえやっぱりアスリートですので負けず嫌いな感じっていうのは要所要所に見えるので
いい形で生かしてもらいたいなと思います。

―近々、全日本種目別やユニバーシアードがあります。それに向けての期待は?

代表選考が全日本とNHK杯とあったので新しい技にいろいろチャレンジしながらも試合では発表してきてないので
本当に春先のワールドカップでニュー杉原っていうワードが出てきましたけれども
いよいよここからそういう新しい取り組みを形にして皆さんにお披露目できる最初の全日本かなというふうに思います。
本人も楽しみにしていると思いますが私自身も大変楽しみにしております。

―どんな技に挑戦するかは本人に宣言してもらいましたが監督としての思いは?

もうとにかく東京オリンピックを見据えての1つ1つのチャレンジだと思うので、
守りにいくと言うよりも東京を見据えて、ことしの世界選手権で権利を取ると言う事が、
ナショナルのチームとしても彼女の責任になってくるので、やれる大会でどんどんチャレンジして、
目いっぱいそこにこだわってきっちり成功させてもらいたいなと思っております。

―楽しみですね。すごいことになるかもしれない。

そうですね本当に本人も楽しみにしてもらいたいですし、私も楽しみたいですし、
また見ている人たちがなんかすごい事になってきたぞっていうふうな楽しみが増えるような
そんなスタートになる全日本を期待してます。


取材 塩田博ディレクター