国内屈指のトップスケーター 世界での活躍に期待高まる

スケートボード 池慧野巨(いけ・けやき)選手

2021年の東京オリンピックで日本人選手が金メダルを獲得し、盛り上がったスケートボード。そのスケートボード・ストリート種目で日本ランキング3位の実力者、池慧野巨(いけ けやき)選手は、見ている人を魅了するトリックで、来年のパリオリンピックでの活躍が期待されています。

(慧野巨)「日本で3位に入れたから世界選手権に挑めるチャンスが掴めた。海外の舞台で決勝行きたいですね。それがとりあえずの目標です。」

澄んだまなざしと控えめな口調で、世界への挑戦に思いを馳せる22歳。和歌山県、田辺市出身の慧野巨選手がスケートボードを始めたのは7歳の時でした。きっかけはお父さんが持っていたスケートボードで友達と遊び始めたこと。

そのスピード感にどんどんハマっていったといいます。そんな息子の為に、父は自宅に専用の練習場を作りました。毎日、夜遅くまで練習に励み、その才能を開花。13歳で出場した大会では、将来、東京オリンピック金メダリストになる幼き堀米雄斗選手を抜いて優勝し、その名を全国に轟かせます。

17歳当時の思い「五輪でスケボーの印象が良くなればいい」出場にはこだわりなし

17歳の頃の池慧野巨選手

2016年、スケートボードはオリンピック正式競技に決定しました。その翌年、神戸のメリケンパークで行われた世界大会「WORLD COMPETITION」で、慧野巨選手は日本最高のトップコンぺクタ―として注目を集め、準優勝。さらに翌年、全日本選手権で優勝。当時17歳だった彼にオリンピックへの意気込みを聞くと、意外な答えが返ってきました。

(慧野巨)「俺がスケボー始めたんは、オリンピックが理由じゃないから。どちらかと言うと“オリンピックが俺のルートに入り込んで来た”みたいな感じやから。だから出ても出なくても、どっちでもいいです。でも一番はオリンピックで、スケボーの印象を良くすることがいいと思います。スケボーは、まだ結構、悪い目で見られるのもあると思うんです。うるさいし近所迷惑やし。ただ、自分がオリンピックに出た時の事は考えますね。出た後とか、どうなるんかなって。」

ライバル堀米雄斗の金メダル 心境にも変化

堀米選手の五輪での活躍に「刺激をもらえた」

しかし、慧野巨選手が東京オリンピックに出場することはありませんでした。男子ストリートでは、堀米雄斗選手が金メダルを獲得し、女子ストリートでは西矢椛(もみじ)選手も金メダルを獲得。日本人選手たちの活躍を目の当たりにし、慧野巨選手の心境に変化が生まれました。

(慧野巨)「オリンピックの影響力が凄いなと思って。僕も本気で目指してた訳じゃないし、でも出たら結構変わってたかなというのは、後のニュースとかでちょっと思いましたね。こんな変わるんやって」

仲間でありライバルの堀米雄斗選手の活躍に、大きな刺激を受けたといいます。

(慧野巨)「友達やからめっちゃ応援してたし、悔しいっていうのはあんまりなくて。おめでとう、凄かったって素直に思いました。逆に僕もモチベーションが高くなるというか、刺激を貰えたので、それはすごく良い事かなと思います。」

去年11月、慧野巨選手は5度目の開催となる全日本選手権で準優勝。新たな目標であるパリオリンピックへと歩み始めました。

「次の世代からのプレッシャーがあるから頑張れる」原点回帰で火が付く

思い出の公園で当時を振り返る

現在は東京で暮らす慧野巨選手。今年5月、久しぶりに関西に帰って来ました。訪れたのは大阪にある深北緑地公園。ここは無料でスケートボードが楽しめる広場があり、彼の原点とも言える場所です。

(慧野巨)「家が近かったのでほぼ毎日来ましたね。スキルは上がりました。ここのおかげで新しい世代の子達がうまくなってるので、それは、見てても面白いし、当時の自分を思い出すような子もいます。抜かしてやるみたいな気持ちで俺ら世代の事を見てると思うから、上の世代はそのプレッシャーと圧があるお陰で頑張れる。めっちゃ良いバランスやと思います。」

当時、通っていたコロッケ屋さんにも訪れました。

(慧野巨)「バリ懐かしい!めっちゃうまいです」

そして会いに行ったのは、慧野巨選手が子どもの頃からお世話になっているスケートボードショップ「iS OLLiES」の店長・原田康行さんです。慧野巨の当時の印象を聞いてみました。

(原田)「めちゃくちゃうまいなっていう印象でした。それが彼との最初の出会いです。今、スケートボードのアスリートと言われてる子が低年齢化してる中で、彼はベテランの域に達してると思うんですよ。ベテランながらのカッコ良さが滲みでるような、若い子達が憧れるようなスケーターになってもらえたらなと思います。」

懐かしい恩人との再会に、リラックスした様子の慧野巨選手。

(慧野巨)「また昔みたいにひた向きに頑張ろう、みたいな。ちょっとそんな気になりました。まぁ頑張ってますけど(笑)」

店内には、堀米選手直筆のサインが書かれた東京オリンピック日本代表のユニフォームが、飾られていました。

(慧野巨)「店長が、【雄斗に会う機会あったらサイン貰って来て】やって、頼まれて。雄斗のスケボーはエグうまいんで、ちょっとそこは見習う・・・、ライバルを見習うっていうのはなんかね、悔しい話なんですけど、尊敬してる所は尊敬して、戦う所は戦ってみたいな感じです。」

ライバル堀米選手との絆 オリンピックへの思いにも変化が

堀米雄斗選手主催のイベントに参加

ことし5月、堀米選手が主催するスケートボードのイベントに参加した慧野巨選手。若い世代のスケーター達に日本のトップスケーターがトリックを披露します。久しぶりに共に滑った堀米選手は慧野巨選手について…。

(堀米)「一緒に大会とかでも頑張って来たし、こうして一緒にイベントが出来て、凄い嬉しいですね。慧野巨はレベルも高いし、スケートもうまいので、一緒に滑ってて、すごい刺激も貰えます。」

(慧野巨)「まさか大阪で雄斗がイベントやると思ってなかったから、大阪のちっちゃい子がいっぱいいたんですけど、次の世代の子が良い刺激をもらったんじゃないかなと思います。」

目指すはパリオリンピック。「オリンピックが俺のルートに入ってきた」そう語っていた17歳のあの頃から5年、以前とはその思いも変わりました。

(慧野巨)「そんな偉そうに言えないですね(笑)。オリンピックになった経緯も色んな大人の人が頑張って、そのオリンピックに出たおかげでアスリートが新しい舞台に行けるチャンスの場でもあるんで。せっかくチャンスなら、そのチャンスは掴みたいし僕が刺激をもらったみたいに、誰かに刺激を与えられればそれは面白いかなと思います。」

ケヤキの木のように、大きく夢を育てる。オリンピックは新しい世界へ伸びるチャンスの枝。池慧野巨はスケートボードでその先の夢へ挑みます。

池 慧野巨 ike keyaki プロフィール

2001年4月29日 21歳
和歌山 田辺市出身
☆ストリート・レギュラースタンス
☆好きな食べ物 チョコレート


毎週日曜日 あさ6:00  読売テレビ地上波で放送

新番組 「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、
2022年4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
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(6月4日放送)

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