【あすリートPlus】もう一度、光り輝く舞台へ 右目の視力を失ったサッカー選手 松本光平(読売テレビ「あすリートPlus」)

2022年07月16日 / フットサル

■「もう1度、世界の舞台で…」暗闇の中で見据えた一筋の光

松本光平選手(デウソン神戸)

大阪出身のサッカー選手、松本光平さん。松本さんは2年前のトレーニング中、不慮の事故で右目の視力を失いました。左目の視力もわずかしか残っていない、視覚障がい者でもあります。
しかし、ピッチに出れば、パワー全開!視覚の不自由さをまったく感じさせない、ダイナミックなプレーで観客を沸かせます。「夢を諦めず、もう1度ピッチを目指す」、サッカーに懸ける熱き「決意」に迫ります。

(松本)「この目の状態が普通になってきているので、プレーも向上しているんじゃないかと思います。視力が落ちてパフォーマンスが上がっているので、プラマイゼロくらいに思っています。」

もう一度、あの舞台へ!松本光平(33)~視覚障がいのあるサッカー選手の物語~

自身の障がいについて話す言葉に、持ち前のポジティブさが滲み出ます。
視力を失う前、松本選手は海外で活躍するプロサッカー選手でした。高校時代はJリーグの下部組織に所属し、18歳で海外へ渡ります。イギリスのクラブからスタートし、オーストラリアやニュージーランドなど、多くの海外の地で戦績を刻んできました。そして2019年、クラブチーム世界一を決める「FIFA クラブワールドカップ」にオセアニア王者の一員として出場。
海外に渡り11年、やっと掴んだ夢の舞台でした。

(松本)「クラブワールドカップに出たくてニュージーランドでプレーしてきて、やっと出れたものの、内容も結果も全然良くなかったので…。」

「もう1度、世界の舞台で納得できるプレーを」…2020年5月、そう心に決めた矢先、練習中に起きた突然の事故が松本選手を襲います。

(松本)「長いチューブをかけてひっぱるトレーニングをしてて…。引っ張っていたら、留め具が外れたんです。チューブの勢いが凄くて、飛んできた金具が右目に刺さり、チューブが左目に当たったという感じですね。」

緊急手術を受けましたが、右目は光を感じる程度で、左目の視力もごくわずか。術後の松本さんの瞳に映ったのは、ぼんやりとした世界。受け入れるしかありませんでした。

■揺るがぬ「決意」を胸に

時折ユーモアを交えながら自身の「決意」について話す松本選手

退院後、1か月間はゆっくり歩くリハビリを丁寧に積み重ねました。感覚に慣れず、最初は少し歩くだけで、気分が悪くなったといいます。それでも、松本選手は、自分を支えてくれるたくさんの仲間、そして自分自身を信じ、地道なリハビリを続けました。
自分自身と真摯に向き合い続けた松本選手。手術から4ヶ月が経った頃、毎日のひたむきな努力が実を結び、プレーができるまでに回復していました。

(サポートスタッフ)「(松本選手は)スーパーポジティブです。」

(松本)「(もともと)犬とか怖くて…。ただ、最近は犬の表情とか見えないからあまり怖くないかな。」

(サポートスタッフ)「こんな感じのポジティブです(笑)。」

スーパーポジティブとも評される松本選手。突き抜けたポジティブシンキングと、並外れた回復力の裏には、決してブレることのない「想い」があります。

(松本)「クラブワールドカップの舞台には絶対に立ちたい。次こそはしっかり結果を出したい、その思いでやってきているので。それは怪我をする前から思ってたことですし、今もまったく変わっていないので。」

(ディレクター)「松本さんはへこんだり悩んだりしますか?」

(松本さん)「へこんだり…あんまりないっすね。今のところ眼球だけしかへこんでないっすね。」

過酷なリハビリを乗り越えた松本選手は、手術からわずか半年後、ニュージーランドの強豪、オークランド・シティと選手契約を結びます。
しかし、コロナ禍の影響で、すぐにニュージーランドに渡ることはできませんでした。
チームに合流ができない日々が続く中、サッカー教室にも積極的に参加していた松本選手。「怪我をしても諦めない」、果敢な姿を見せる松本選手は、子どもたちにとってもヒーローです。子どもたちからの素朴な質問にも、目線を合わせ、丁寧に向き合います。

■選手生命の危機から約2年、「新たな挑戦」に懸ける

再びピッチへー

「もう1度、世界の舞台で戦いたい」、揺るがぬ決意を胸に、何事にも真摯に取り組んできた松本選手。今年5月、そんな彼の姿は、フットサルチームの練習場にありました。日本フットサルリーグのデウソン神戸からオファーが届いたのです。

(松本)「(サッカーをする上で)大まかなプレーはほとんど出来ていたけれど、細かい対人の部分…距離感のエラーなどが発生していました。そういった細かい部分をフットサルで補っていきたいと思っています」

(横澤監督)「(松本選手は)自分の可能性を信じている。周りから「お前、出来ないよ」って言われても、多分、自分は出来ると思っている。だから、挑戦する。自分を信じているからこそ継続できるし、ポジティブな考えを持てる。そういうところは諦めやすい選手にとっても、凄く勇気づけられることだと思います。」

松本選手には、フットサルの経験はありません。しかし、サッカーにも十分に活かせると考え、新たな挑戦を歩み始めていました。

今年6月に開幕したFリーグの開幕戦。今シーズン、松本選手は一部復帰を目指す、デウソン神戸のキャプテンに抜擢されました。選手生命の危機に立ったあの日からおよそ2年、ついに公式戦のピッチに戻ってきたのです。

前半5分、松本選手が相手をプレス。先制点を生み、チームの流れを作って、果敢にゴールを狙います。松本選手の持ち味であるチャレンジスピリットが光りますが、惜しくも得点には繋がりませんでした。

■「ケガをする前の自分よりも、いいパフォーマンスを」

誰も歩いたことのない未来を―


(松本)「悔しいという思いが強いです。次こそしっかり勝利できるように…この瞬間から、勝利に向けて準備していきたい」

約2年の時を経て、公式戦のピッチに返り咲いた松本選手。試合を振り返り、「新たな挑戦」への熱い想いを語ります。

Fリーグ史上初めて、視覚障がい者としてプレーする松本選手は、ただひたすらに前だけを見つめ、挑戦を重ねる日々に汗を流します。

(松本)「目を怪我してから、たくさんの方にサポートをしてもらっています。その方たちのおかげで、今もトレーニングが出来ているので、常に結果を出して恩返ししたいと思っています。いつかサッカーのピッチに戻った時、目を怪我する前の自分よりもいいパフォーマンスをみせられるように頑張りたいです」

松本光平、33歳。誰も歩いたことのない未来に挑み続けます。(読売テレビ「あすリートPlus」7月17日放送)

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