東京オリンピックから2年 再び世界へ羽ばたく
東京オリンピック2冠に輝いた、競泳・大橋悠依選手と同じ種目である個人メドレー400mで今後の活躍が期待される、谷川亜華葉選手(19歳)。大阪出身で、現在、近畿大学の2年生です。「家族に水泳で恩返しがしたい」。
どんな時も、自分を支えてくれる感謝の思いが彼女を突き動かし、立ちはだかる壁を乗り越えてきました。高校3年生で初の東京オリンピックに出場するも、悔しい結果に終わりました。そこから這い上がり、再び世界へ羽ばたき始めた亜華葉さん。
最大の目標は、オリンピックでのメダル獲得です。決して順風満帆ではなかった彼女の競技人生。挑戦を続ける若きスイマーを追いかけました。
オリンピックで金メダル それが家族への最高の恩返し
大学では、真剣な顔で先生の話に聞き入る亜華葉さん。板書するノートをのぞくと、かわいらしい落書きも添えられていました。「バカなのがばれる(笑)」とキュートな笑顔の女子大生ですが、ひとたびプールに入るとスイマーの表情に一変。競泳界に現れたニューヒロインは、おととしの日本選手権で、当時高校3年生の時に、大橋悠依選手に次ぐ準優勝を果たし、東京オリンピック出場を決めました。
専門種目は400メートル個人メドレー。バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形を100メートルずつひとりで泳ぐハードな種目です。トップ選手の中では160センチと小柄な亜華葉さんですが、400メートルを泳ぎ切るスタミナの源は、娘を誰よりも応援する母・里美さんの手作り弁当。「食べるもので体は作られる」と栄養満点で、彩りもあざやかです。インタビューすると、いつも最初に口にするのは、支えてくれるお母さんへの感謝です。
(亜華葉)「子ども1人育てるだけで難しいのに子ども3人を育てて、生活をこなしてくれていることに関して感謝、という言葉で表せないぐらい感謝してます。」
―蝶のように、羽ばたいてほしいー
そんな想いからつけられた「亜華葉」という名前。実は水泳を始めたのは、お母さんの影響。4才から始めて、ハードなトレーニングの日々を過ごしてきました。
(亜華葉)「やっぱり水泳をしている間は 水泳で恩返しをするのが一番合っていると思う。今できる最高の恩返しがオリンピックでの金メダルだと思うので、それができたら一番いいなって思います。」
初めて挑んだ東京オリンピックは予選落ち
お母さんへの恩返しは、オリンピックでの金メダル。そう誓って挑んだ、東京オリンピックでしたが、コンディションが整わないまま本番を迎え、スピードが保てない中、ベストより4秒近く遅いタイムで予選敗退。夢だったオリンピックは苦い経験となってしまいました。
一方、初めてのオリンピックで躍動したのが、個人メドレー200メートル、400メートルで、二冠を達成した大橋悠依選手。金メダルを目指すアゲハさんにとって、目標でありライバルです。
オリンピックから7か月後、亜華葉さんは、高校卒業の日を迎えていました。大会後は調子が上がらない日々を過ごしていたといいます。
(亜華葉)「やっぱり悠依さんが安心して私にバドンを渡してもらえるようになるには、強くなって国際大会で活躍できる選手になっていかないといけない。それをきっかけに改めて気持ちを入れ直すことができました。」
つらい経験となってしまった夢舞台でしたが、胸に抱く想いは変わりませんでした。
(亜華葉)「変わらないですね。やっぱり私が水泳をする上で、家族に我慢をさせていることだったりとか、一番応援してくれている立場だと思うので、家族に恩返しをしたいっていうのが常にあります。オリンピックで金メダル!誰もが思ってないような結果を出すことが、水泳をしている上では一番の恩返しなんじゃないかなって思ってます。」
もう一度、世界の舞台へ!金メダリスト、大橋悠依に挑む
再び世界へ。卒業式から1か月後の去年3月、世界選手権への出場権をかけた選考会に挑みました。スタートから快調に飛ばす亜華葉さん。並んで泳ぐのは、東京オリンピック2冠の大橋悠依選手です。
金メダリスト相手に、真っ向勝負を挑みます。最後の50メートル、大橋選手を大きく突き放し、必死に水をかく亜華葉さん。もう、負けない。強い想いが18歳の体を突き動かします。そのままトップをキープし、大橋悠依選手を破って世界選手権出場を決め、同時に高校新記録も達成しました。
敗れた大橋選手は、喜びの表情で亜華葉さんのもとへ。後輩が出した素晴らしい結果を讃えます。
(亜華葉)「いろいろな人に助けてもらって、オリンピックに出られることに対して感謝できるようになりました。世界水泳ではオリンピックでできなかった決勝進出と、楽しむレースっていうのをちゃんと実現させたいなと思います。」
選考会から3か月後の去年6月、世界水泳の開催地、ハンガリーへ。世界の並みいる強豪たちを相手に、予選から果敢に飛ばします。先頭集団は横一線。その中で、亜華葉さんが頭一つ飛び出て、トップに。
しかし、じわじわと追い抜かれます。それでも何とか食らいつき、3位でゴール。1年前の東京では成し遂げられなかった、決勝進出を果たしました。レース後、涙で喜びを語った亜華葉さん。
(亜華葉)「すごく不安だったんですけど、このレースを迎えるまでいろんなことがありすぎて、泳げるかすら、わからない状況だったんですけど、自分を信じる、それだけを考えて、きょうを迎えました。不安しかなかったんですけど、自分を信じ続けることができてよかったです。」
2度目の世界選手権出場!何度でも舞い上がる!原動力は「家族」の支え
東京オリンピックの出場、高校新記録の達成、世界選手権の決勝進出。高い壁を、次々と越えてきた19歳。ふとした時に口にするのは、一緒にいなくてもそばにいる、家族への想いです。
(亜華葉)「【亜華葉のおかげで、ママとしても人間としても成長できているから、アゲには本当に感謝してる】ってよく言ってくれるんですけど、そういう言葉を、他の方から聞いてもやっぱりうれしいですけど、家族から聞くとうれしい。なんかうるっときます。感動というか、その言葉を聞けて、なんか良かったなっていう感覚にはなります。」
変わらない家族への想いが、亜華葉さんの原動力。ことし4月に行われた日本選手権でも、魅せてくれました。スタンドには、熱い声援を送る大橋悠依選手の姿が。亜華葉さんは痛めた右肩をおして出場し、準優勝。2度目の世界選手権出場を決めました。
(亜華葉)「成し遂げたいことはオリンピックで優勝すること。今までいろいろな結果を出してきたけど、それが達成できた時が、本当に心から喜べる結果なのかなと思ってます。」
谷川亜華葉 TANIGAWA AGEHA プロフィール
2003年6月15日生まれ 19歳
大阪府出身 四條畷学園高校卒
所属:イトマン/近畿大学1年
2021 東京オリンピック 400m個人メドレー 予選12位
2022 ブダペスト世界水泳選手権 400m個人メドレー 決勝8位
番組ナビゲーターは能見篤史さん
ー 関連動画&記事 ー
毎週日曜日 あさ6:00 読売テレビ地上波で放送
新番組 「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、
2022年4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
「あすリート」の3分では伝えきれない物語や密着映像、また、これまで地上波で観られなかった陸上の関西インカレ、高校サッカー、ボーイズリーグ、中学バレーなどのスポーツ配信サービス
「あすリートチャンネル」の中継コンテンツのダイジェスト版も「あすリートPlus」で放送していく予定です。
土曜放送の「あすリート」のファミリー番組として日曜放送の「あすリートPlus」をお楽しみ下さい。
(読売テレビ「あすリートPlus」5月14日放送)
LIVE配信
関連記事
おすすめ記事
- 第523回 2024年11月23日放送
- 【アーチェリー】 パリ五輪代表 野田紗月(24=ミキハウス)
〜日本のエースアーチャーが見据える未来〜