尼崎市立尼崎高校(略して市尼)の陸上競技部 投てきブロックは、ロンドン五輪やり投げの日本代表ディーン元気選手を輩出し、高校チャンピオンを数多く生み出した強豪です。
前週に登場したハンマーと円盤の高校チャンピオン中村美史選手に続き、今週も市尼の女子やり投げのアスリート、強肩美少女です。
武本紗栄(たけもと さえ)18歳。
4月から大学に進学する彼女、この春まではどこにでもいそうな可愛い女子高生でした。
そんな武本さんに聞いてみました。
「やり投げってどんな競技?」
しばらく考えて出てきた答えは…
【武本選手】
「原始人がやってたみたいな、なんかを狩る感じですかね」
原始人? うーん確かにイメージはしやすいですけど…。(笑)
そんな天然少女の武本さんですが、実力は凄いんです。
インターハイ、国体とやり投げ2冠に輝く高校チャンピオン!
(全国高校総体 優勝、愛媛国体 優勝、U-20 3位)
写真:山形の全国インターハイで 左 武本選手 右はライバルの長 麻尋選手(和歌山北高)
やり投げの選手と聞いて頭に浮かぶのは高身長で、かつマッチョなイメージですが、彼女は161センチと小柄。
実際に会うと、この小さな娘が高校ナンバーワン? と不思議な感じがします。
「あれが市尼の武本?」
競技場で背中から他校の選手たちのひそひそ声がよく聞こえてくるそう。
そして必ず言われるのが…「ちっちゃ」
そのたびに、うっさいわ、と心の中でつぶやくそうです。
ソフトボール投げ68メートル!
アスリートとしての原点はお兄さんたちの影響で始めた野球でした。
男子に負けないよう「頑張りました!」という彼女、ピッチャーとして活躍していましたが、あるときキャッチャーの子が怪我をしてマスクをつけたら…その肩の強さに周囲は驚きました。
【武本選手】
「キャッチャーしてたときに盗塁されてもほぼほぼ刺せてたし、ヒザ着いたまま2塁に届いたり、小学6年のときのソフトボール投げの記録やったら…68メートル投げてます 」
小6の女の子が68メートル!?
ちなみに6年男子の平均は30メートル、女子は17メートル。
彼女がユニバ記念競技場でマークした公式記録68メートル65センチは今も破られていない兵庫県記録だそうです。
http://www.haaa.jp/hr/syo.pdf
「いっしょに東京オリンピック出よな!」
高校3年間を過ごした市立尼崎高校陸上競技部。
ロンドンオリンピックに出場したディーン元気選手(ミズノ)も市アマ出身、8年先輩です。
ディーン選手も同じ神戸出身、自宅もご近所さんだとか。
そんなオリンピアンも現在、市アマのグラウンドでいっしょに練習することもあり、専属コーチのいない武本さんに練習方法など貴重なアドバイスをくれるそうです。
そんなディーン先輩を彼女は…「神様です」と言います。
その神様は気さくで頼れる相談相手でもあります。
【武本選手】
「ロンドン出て、東京もいっしょに出よなって言ってもらたんですけど、ディーンさんのレベルかあ、と思って…(笑)」
武本さんのベストは高校歴代7位の56メートル44。高校に入ってから本格的に始め、まだ荒削りの原石です。
武本さんをこう評価しています。
【ディーン選手】
「やりの伸びとか、肩の強さっていうのがホントに魅力で、足のさばきとかまだまだ改善点もあるので、身長161センチでも世界は全然いけるんじゃないかと思います。」
伸びしろは無限大
やり投げを始めて3年、成長を続けた彼女が顧問の大久保先生から言われ続けてきたことがあります。
【武本選手】
「おまえはカラカラのスポンジやって(笑)」
吸収しまくり、伸びしろは無限大ということでしょうか。
大久保先生は言います。
【大久保先生】
「肩の強さ、加えて肩のやわらかさ、小さいけれど身体のバランスが魅力ですね。この3年間、陰で努力を続けて来たんでしょう。これからシニア、世界へと羽ばたくためには走力、跳躍力のアップが欠かせないですね。そのあたりがまだまだなので、伸びる可能性は十分にあると思います。」
東京は2年後、近すぎてイメージできないと彼女は言います。
6年後のパリ?
ことしの7月にはフィンランドでU20の世界選手権があります。
【武本選手】
「世界大会に一つでも多く出ることです」
大阪体育大学に進学する彼女、新たな舞台でのスタートに期待です。
あすリートはインカレ、日本選手権で活躍する追跡取材、応援したいと思います。
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