トップリーグのプレーオフに進出したトップチャレンジリーグ(下部リーグ)の上位4チームの中で唯一2回戦進出を果たした近鉄ライナーズ。
ホーム花園ラグビー場で、最強の相手パナソニック・ワイルドナイツを迎え撃ちました。


週刊ひがしおおさかの提供記事です。


叶わなかった。ベスト8は叶わなかった。
ホーム・花園を最後の舞台にし、近鉄ライナーズの今シーズンは終了しました。

近鉄ライナーズ 7-54 パナソニックワイルドナイツ

新型コロナウィルスの影響でリーグ戦が延期されて、練習試合も満足にできなくて…
そんな中ターゲットをトップ8に定め、シーズンを走ってきたライナーズ。
この1年の記憶が走馬灯のようによみがえります。
リーグ戦で全勝し、豊田自動織機とのとップチャレンジリーグ優勝決定戦で敗れ、2位として戦ったプレーオフトーナメント1回戦・宗像サニックス戦での大勝利。

そして迎えた、4月25日。
勝てば目標のベスト8となるパナソニックワイルドナイツとの2回戦は、7-54の大差で敗れました。

緊急事態宣言下にもかかわらず、花園で3989人のファンを迎え入れホームアドバンテージを十分に得たライナーズ。最大級に力を出せる環境は、用意されていました。
それでも、それでもこれが今のライナーズの力。
絶対的王者パナソニックの力を全身で受け止め、花園で散りました。

47点差。しかし前半のライナーズは、自分たちのスタイルを貫きました。
風上に立って試合の入りからリズムを作り、ディフェンスで相手にプレッシャーをかけ前進させない。
パナソニックと互角に渡り合っていたのです。

ケガで出場不可となったウィル・ゲニアに代わり、大抜擢された9佐原の伸びのあるパス

ゲームキャプテン マイケル・ストーバークのラインアウトディフェンスと速いプレッシャー。

サナイラ・ワクァの強烈なアタック。

野中翔平の運動量

それらすべてが作用し出た答えが、前半14分の先制トライでした。
相手陣22m付近で慎重につないだボールを9佐原から15マシレワ、7ジェドへ。タックルを受けながら短いパスをマシレワに返すと一気に抜け、右端を走る14ジョシュアに渡ってトライをあげました。
これがライナーズ成長の証。
FWでもぎ取るトライでもなく、マシレワの独走トライでもなく、グラウンドを広く使いパスをつないで取ったトライです。
このトライをするために、花園に戻ってきた。

セミシ・マシレワからジョシュア・ノーラへラストパス

後半、疲れ切ったライナーズはボコボコとトライを取られていきます。
トップチームとの差を見せつけられ、守ることで精一杯。いやそれすらままならない。

ゲームキャプテンのストーバークは試合後、「アタック、ディフェンスともに厳しいプレーができるようになればトップ8に勝てると思う」と話します。


トップチームという、分厚くて高い壁。
新リーグが始まり、トップリーグのチームとの対戦が予定される中、ライナーズはその道を進まなければなりません。
次のステージに行くために、この結果を受け止めてさらなる進化を。前半14分のような、必然性のある1トライを。
来るべき新リーグに向け、さあもう一度踏み出そう。
誰もが、ライナーズがトップに輝く日を待っている!

試合後、燃え尽きたゲームキャプテン マイケル・ストーバーグの表情が涙を誘う。



text by 前田寛文(週刊ひがしおおさか編集長)


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