「2年連続日本一」
専門種目は10台のハードルを跳び越えトラックを1周走る400mハードル。今回の主人公は、立命館大学2年生の山本亜美選手(20)です。
彼女の持ち味は、苦しい後半も衰えないスピード!2021年の日本選手権、前半リードしたのは2018年チャンピオンの宇都宮絵莉選手でしたが、ラスト100mから山本亜美選手が強烈なスパートで抜き去り初優勝!
そして今年の日本選手権。前年同様に前半は宇都宮選手がリードする展開になりましたが、今年は最終コーナーで追いつきほぼ並んでホームストレートへ!最後はラストの強さを発揮して圧勝!2連覇を達成しました!
56秒38という優勝タイムは、日本歴代6位&学生歴代4位&関西学生新記録という好記録ですが、本人曰く…。
(山本)「今年の決勝は56秒台を出さないと勝てないと思っていたんですけど、56秒3も出る!?え~!?ってなりました。ハードリングは結構上手になったんですけど、走力がまだまだ遅いので、もっともっと速くなりたいです。この1年で0.7秒くらい速くはなったんですけど、実際に日本選手権の決勝で走り終わって感じたのは、『これで56秒3か、まだいけるな!』って思えたので、これからも楽しみです!」
まだまだ伸びしろたっぷりの大学生アスリートに注目しました。
【陸上/400mハードル】のびのびしなやか 20歳のハードラー 山本亜美 (立命館大学) 若き日本チャンピオンは練習好き!!
「大の練習好き」
小学生の時はタグラグビーで体を動かし、中学生から部活として陸上を始めた山本亜美選手。最初は、100mや200mといった短距離種目をやっており、400mハードルの道に進んだのは京都橘高校進学後、高校2年生からでした。
(山本)「中学3年生の時のジュニアオリンピックで準決勝まではいったんですけど、『あ、200mじゃ決勝で勝負できないんだ』って思って、距離を伸ばした方が自分に合ってると感じたので、高校では400mとか400mハードルをやりたいと思っていました。」
400mハードルを始めた当初は、ハードルを跳び越えるのもぎこちない様子だったといいます。
(山本)「そんな状態でも『あ、400mハードルいけるわ!』って思っていました。今思えばすごい自信ですよね。高校の先生もあれでよくやらせてくれたなって思います。」
そこからわずか3年で日本一に。その強さの秘密は、とにかく陸上を楽しむこと。
(山本)「練習が本当に楽しくて、試合よりも練習の方が楽しいんです。練習がどれだけきつくても、仲間みんなと一緒に陸上をできていることが一番楽しいので、辞めたいと思ったこともありません。」
常に笑顔でのびのびと練習している姿が印象的。コロナ禍で自粛生活になった時にも、お父さんの手作りハードルで練習するほど。陸上愛が日本チャンピオンの礎でした。
(山本)「自分すごい!って感じです。練習頑張ってやってきたんやなって思います!成長しました!まだまだ下手なところはたくさんあるけど、始めた頃の自分と比べるとよく頑張った!」
「気持ちの強さ」
今年最初に山本亜美選手を取材したのは、4月の日本学生個人選手権。2位という結果でレース後にインタビューに応じてくれました。
(山本)「今年の自分の目標は『勝ちまくる』っていうテーマで、どの試合でも相手はもちろん、自分に対しても勝てるレースをしていきたいと思っていたんですけど、初戦の全国大会から負けてしまったんで悔しいです。」
5月の静岡国際陸上でも4位と、なかなか勝てない日々が続いていましたが、1番勝ちたい大会だった日本選手権で最高の走りを見せてくれました。
この勝負強さの秘訣は気持ちの作り方にありました。
(山本)「試合では『自分が1番強い。勝てる。』って思ってレースに臨んでいます。レーンに立っている時には、『はい、もう自分が1番速いです!』って思いながら立っています。自分で、もう無理とかやばいっていう不安な感情を持つことが負けにつながると思っていて、身体は反応してしまうと思うので、不安に思っていても『いける!』と気持ちは作るように心がけています。」
ポジティブ思考でレースに臨む山本亜美選手。普段の姿も無邪気で天真爛漫な彼女はプレッシャーとは無縁に思えますが、その素顔とは-。
(チームメイト)「大きい大会になると、心配そうな顔をしています。」
(山本)「めっちゃ緊張するタイプで、不安を仲間に共有してもらうようにしています。いつも召集場に私いないんです。コールが終わってから2回か3回はトイレに行くので…(笑)。レース前は堂々としているように見せているだけで、本当はドキドキなんです。」日本チャンピオンの意外な一面でした。
すべての記録を「山本亜美」に
本格的に400mハードルを始めてから着実に成長を続け、日本一にまで上り詰めた山本亜美選手。
自己ベストは関西学生記録でもある56秒38。その先には、日本学生記録(55秒94)、さらには日本記録(55秒34)を見据えています。
(山本)「あと2年で55秒台を出さないとパリオリンピックにはいけない。前半の200mをどう走るかというところを追求していけば55秒台は出るかなって思っています。すべての記録が『山本亜美』ってなるように頑張ります!」
東京オリンピックの時の参加標準記録は55秒40。世界への扉を開けるため、山本亜美選手はもっともっと速くなります。
(山本)「来年の世界陸上にはまず選ばれるように頑張らないとダメですよね。来年に日本代表になって世界陸上を経験して、その後にパリを目指さないと、いきなりパリって言っても自分も対応できないことも多いと思うので、1つ1つの経験を積んでいきたいです。日本代表のユニフォームを着ないまま引退はできないと思っているので、2年後のパリ五輪に向けて頑張ります!」
最後に、オリンピックでの結果をイメージしてもらいました。
(山本)「結果までは…そんな…。あ!ダメですね。まだまだ全然ダメです。自分なんてってまだ思っちゃっているので。そこの気持ちから作れるように、自信をつけるためにも速く走れるように頑張ります!」
彼女が“真の自信”を身につけたとき、どんな結果を見せてくれるのか。大器の予感を感じさせる20歳の今後が楽しみです。
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