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関西の雄復活なるか。

丹後駅伝3年ぶりの優勝を狙う立命館。
関西の長距離界を長年引っ張ってきた名門は、近年は関西トップの座を他大学に奪われている。
関西王者を決める丹後駅伝は、一昨年が準優勝、昨年が3位という結果に終わった。
関西王者返り咲きへ。今シーズンは、『不諦一体』 (ふていいったい)というスローガンのもとスタート。
6月の全日本大学駅伝予選会では、24大会連続36回目の伊勢路を決めたが、一方で出雲駅伝への出場を逃した。
エース大森駿斗を中心に下級生の頃から引っ張ってきた4回生世代が集大成を迎えるだけに、最後の関西駅伝で一花咲かせて欲しい。
 
 
「近年の低迷は感じている。再度関西の雄と言われるくらい強い立命館を取り戻すために、今回の丹後駅伝で優勝することに意味がある。僕たちの代が1回生の頃は丹後駅伝を4連覇したが、そこから勝てていない。下級生が優勝を経験することはもちろん、来年の出雲駅伝の出場権を取るためにも全体に負けられない」と語るのは主将の山﨑皓太。
「全日本の予選会では、僕自身も調子が上がらず走れなかったし、チームが万全ではなかった。今年の夏合宿では、例年に比べ怪我で離脱する人が少なく、練習が消化出来ているので、しっかりと調整をすれば勝てる実力はあると思います」と話す。
「全日本予選会はギリギリの戦いになった。これまでの立命館として、力を発揮しきれずに大会が終わることがあったが、今回は全員が力を発揮した結果4位だった。出雲駅伝を逃したこと、関西の3つの大学に負けたことを受け止め、この悔しさを力に変えていきたい」と前を向いた。

今年の立命館の注目株は、やはり4回生世代。
エース三本柱と言われてきた、5000mの自己ベスト13’56″82を持つ大森、10000mの自己ベスト28’54″55を持つキャプテの山﨑、そして5000m14分前半、10000m29分で走る中田千太郎の3人だ。
しかし、山﨑と中田は全日本大学駅伝予選会を怪我の影響で走れず、チームの状態は万全とは言えなかった。

 

エース三本柱の一人、大森

 

左から倉橋、山﨑

 

一方で嬉しいニュースも。4回生の最後の一人、榎本隆之介が、10月5日に行われた関西ディスタンスチャレンジで高校ぶりに5000mの自己ベストを更新した。
大森、中田と同じ智辯学園奈良カレッジ高校出身で、今勢いに乗る頼もしい存在だ。
山﨑も「榎本が1番ここ最近急成長した。本人の中で3年間結果が出ず苦しいこともあったと思うが、ここに来て自己ベストが出て勢いに乗ってるのはチームとしても大きい。最高学年としての走りに期待したい」と話している。
山﨑は同期3人との出会いが印象深かったという。
「僕以外智辯で、まさかの全員メガネ。最初は凄い集団やなと思いました」と振り返る。
「今年の夏合宿は、4回生で同部屋だったんです。最後に絆は深まったかな」とはにかんだ。
また、3回生の田部央や2回生の児玉航洋も5000mで自己ベストを更新しており、期待がもてる。
2回生の藪田虎志朗も1500m、3000mと自己ベストを更新し、スピードランナーも確実に育っている。
「駅伝では個々の特性を活かした編成が大事になってくる。スピードに自身がある藪田には、スピード区間で勝負して欲しい」と山﨑は語る。

 

左から榎本、茶木

3回生の田部

左から児玉、藪田

 

そして、最も勢いがあるのがルーキーの柏木優希だろう。
5000m の自己ベスト14’07″14を持つ柏木。全日本大学駅伝予選会では、ルーキーながらチームトップのタイムで快走。
練習では常に1番上のグループで走っており、ルーキーながらエースに匹敵する実力がある。
「単純に練習でも強いですね。これからももっと伸びると思うし、期待が大きい存在です」と山﨑。
チームの優勝のため、ライバルを意識せずにはいられない。
ここ1年関西トップに君臨するのは、エース小嶋郁依斗を中心とする京産大だろう。
「小嶋は強い。小嶋だけでなく、下級生の層があつい。彼らに勝つために立命館としては、駅伝シーズン1人も欠けられない状態なのかな。
かと言って絶対に勝てないほど実力差があるかというわけではない。
しっかり実力を発揮出来れば勝てると信じてる」と宿敵を評しつつ、次こそは勝つという思いを強くしている。

 

エースに匹敵する実力のルーキー柏木

 

丹後駅伝優勝の鍵を握るのは、「『単独走』がどれほどできるか」だと山﨑は話す。
「丹後は、1人で走れる力が必要。
うちの選手は、トラックレースなど人の後ろに付いたら好記録出せますよっていう選手はいても、1人で押し切って走れないことが多い。
小嶋が走る区間で結構差を開かれるのではないかと予想しています。
それに追いつくために、他の区間で1人で押し切る力がキーポイントだと考えています」。

京産大だけでなく、関西大学や大阪経済大学、関西学院大学と力が拮抗するライバルがひしめく関西長距離界。
頂点は1校だけしか取ることができない。
最後に笑うチームはどこか。臙脂(えんじ)の執念を見せる時がきた。

【過去の成績】
・丹後駅伝4連覇(2018~2021)
・丹後駅伝2022準優勝、丹後駅伝20233位
・出雲駅伝2023 15位
・全日本大学駅伝2023 20位

【プロフィール】
立命館大学男子陸上競技部。長年「関西の雄」として歴史を紡いできた。今年はエース大森駿斗(生命4)、中田千太郎(済4)、山﨑皓太(済4)の3本柱が最高学年になり、集大成を迎える。加えて榎本隆之介(食マネ4)が高校ぶりに5000mの自己ベストを更新し、4回生世代の活躍必至だ。今年はルーキー柏木優希(理工1)が全日本予選会チームトップと強い。他にも田部央(済3)、児玉航洋(食マネ2)が5000mで自己ベストを更新し力をつけている。また、藪田虎志朗(スポ健2)は1500mと3000mで自己ベストを更新するなど、スピードランナーもいる。チームの優勝のためには、一人もメンバーが欠けること無く、力を発揮しきれるかが重要だ。いざ万全の布陣で、関西トップに挑む。

【文責:立命スポーツ編集局 池野美里】

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