新監督は大村和輝氏(48)アシスタントヘッドコーチ兼オフェンスコーディネーター

関西学院大学は22日、来季のアメリカンフットボール部の新監督に大村和輝アシスタントヘッドコーチ兼オフェンスコーディネーター(48)を選任したと発表しました。
2月1日付で就任します。
関学大は今季学生日本一に輝き、1月に行われたライスボウルに出場。富士通フロンティアズに14-38で敗れ28年間チームを指揮した鳥内秀晃監督が退任しました。

鳥内前監督から「あと頼んだ」とだけ伝えられた新監督の意気込みです。

大村新監督記者会見

大村「本年度2020年度シーズンよりチームを率いることになりました。
長い間監督をやっていただいた鳥内さんがバトンを渡してくれたので
しっかりとチームの伝統、文化を背負ってチームを進化させられるように頑張っていきます。」

    
-率直な心境とアメフトを始めた時に関学の監督になるイメージはあったのかお聞かせください?

まぁ大変やろうな(笑)。本当は野球で甲子園を目指すはずやったけど、うまいことコーチに引っ張られて、中学部でアメフトを始めてしまった。監督になるイメージは全くなかった。

-鳥内前監督からどんな話がありましたか?またご自身のオリジナリティーはどう出しますか?

鳥内さんからは正直あまり話はされていない。「あと頼んだで」ってぐらいです。
新しいことや具体的なことはないけど。チームに戻ってきて新しいことを色々やった時に鳥内さんがすべてOKを出してくれた。やりたいことをやらせていただいたので、ここで守るのではなく新しいことにもっと挑戦していきたい。
自分のオリジナリティーですか?鳥内さんよりは論理的に考えられることかな(笑)
形に何とかもっていくのは比較的得意なのでそういう風にしていきたい。

-チームつくりの幹になる部分は?

フットボールチームなので結果はフィールドに出る。ファンダメンタル(基礎体力)とプレーの精度にはこだわりたい。人間教育ができるほどの人間ではないけど、選手がファンダメンタルとプレーの精度にこだわってアメフトに向き合えるとルールも守ってくるし、しんどいときもぶれずに向き合える。そういうところはこだわってやっていきたい。

-大村新監督が引き受けたポイントは?

頼まれて嫌とは言えない。チャレンジとして次の世代に繋いでいくのは大切だと思って受けさせていただいた。

-この伝統だけは守りたいファイターズの伝統は?

「俺がやるねん」と自分に向き合ってやっていけるとこころ。学生が責任を取るという覚悟は大事だと思う。勝率を100%に近づけるためにやっていくためには、どれだけ練習やミーティングをやっても終わりはない。そこに向けてやっていけたらいい。

-どういう風に学生を指導している?

答えをすぐに出さないようにしている。答えを自分たちで気づかせようとしている。そして、ダメなことはダメと𠮟るし細かいことをないがしろにしないようにしている。

-趣味は?

結構本を読む。スーパー銭湯でサウナに入ること。

-本は学生にも読ませていると聞きましたが?

勉強を苦手な選手に本を読ませていた。勉強が苦手な選手は問題をうまく読めないと思っている。読解能力が低いんだと思う。だから勉強が苦手な選手に本を読ますようになった。そうしたら学力の成績も上がってきた。

-ファイターズの次のビジョンは?

理想は勝つべくして勝つ。いままでそこに達したことはない。胸を張って勝つべくして勝てるチームを作りたい。

-アメリカで様々な大学を見ていると思いますが、関学はどれぐらいのレベルですか?

アメリカとの勝負は考えていません。おそらく3部の中堅だったら勝負できる感覚。メンバーがそろっていたらやってみたい。

-アメリカのチームで参考にしたいのは?

チーム作りではあまりない。仕組みとして地元と学生がサポートしているのはうらやましい。スポーツがビジネスとして確立しているのはうらやましいけど。人を育てる仕組みについてはアメリカの大学が勝っているとはあまり感じない。

-フットボールに出会うまでは?

明石生まれです。野球をやっていたので滝川二高に入学して野球をやるつもりだった。いちびっていたのでプロ野球選手になれると思っていた。そしたら母に関学の中学部に入ったら大学まで入試がないと聞いて受験したら合格した。中学に入学したら新入生オリエンテーションがあってそこでメチャビーというグランドを泥々にしてラグビーとアメフトの間のようなスポーツをした。そこでたまたま活躍してしまった。オリエンテーションに来ているリーダーがアメリカンのコーチだったのでそのまま引っ張られた。

-コーチとしてやろうと思ったきっかけは?

きっかけは5年生コーチになった時。鳥内さん、小野さん、堀口さんにお世話になった。立命館が初優勝した年だが、その年に関学は京都大学に完封されて負けた。それが悔しくて就職をやめてコーチになろうと思い始めた。

-社会人チームでコーチを渡り歩いた経験から関学はどうですか?

関学のフットボールはすごいなと思った。社会人のチームでは各大学の幹部クラスが集まるけど細かいことまで考えられていなかった、関学ってすごいと再確認した。

-大村選手以上のすごい選手は?

いまの選手が失敗しているのを見ると俺もできるなって思うけど(笑)今までの選手ですごいと思ったのはぼくの同期の谷島です。彼以上のラインは見たことがない。

-選手から怖がられているようですが?

他のコーチにユニークな方々が多いので(笑)抑止力として厳しく接している。

-関学の監督はどんな存在?

いい人間を出すのが関学だけど、勝った上の話だと思う。大変だと思うけどやりがいがある。

-ライスボウルに関しては?

ライスボウルは実力が離れている。安全を考えるとしんどいと思っている。
関西では甲子園出場決定戦がトーナメントになって、立命館大と2回対戦しないといけない。立命に2回勝つことを考えるとライスボウルまで考えられない。

-社会人とレベルが開いたと言っていますが、シーガルズにケビン・ジャクソン(アメリカ人選手)を初めて呼んだのは大村さんだと思うのですが、今後アメフト界を変える革命的な取り組みはありますか?

ケビンはハワイでルームメイトだったから。彼がグリーンベイパッカーズのキャンプでカットされて私に泣きの電話が入ってきたから日本に呼んだんです。だから元々呼ぶつもりはなかった。
画期的な取り組みはまだなにも考えていない。

-日本大学とのお付き合いはどうする?

小野ディレクター
日大との定期戦が再開されると報道されましたが、まだ議論している段階。まだ何も決まっていません。再開されたときに場所がなかったら不細工なので現状場所を仮押さえしただけです。

-日大への思いは?

昔から関学と日大は好敵手であり切磋琢磨してきた。また切磋琢磨できる環境が整えばいいなと思う。

-大村さんの原動力は?

5年目にコーチをして選手と違う目線でやれたこと。京大に完封負けしたこと。また2008年の観客席で立命戦を見て、関学らしくない試合だった。こんなミスをするはずないなと思った。終わってから小野さんと話すことがあって縁を感じてここが戻り時だと思った。

-どんなチームにしたい?

勝つべくして勝ちたい。学生の成長も必要。勝つべくして勝ちたい。一度もそんな勝ち方をしたことがないので。

-個人面談もしているが学生に感じたことは?

現状の認識のしかたと目標があっていないので、それを合わせるのが大切だと感じた。関学でアメフトをしているという自覚がない、私たちが伝えきれていないのでそれをしっかりと伝えたい。

小野ディレクター
2009年に戻ってきていろいろと改革してくれた。
トレーニングが変わった。トレーニングルームでのレベルも高いがそれをフィールドでもトレーニングを取り入れてかなり活かせられるようになった。トレーニングルームのパフォーマンスがフィールドにうまく繋がった。はやりプロの仕事だと思った。
リクルーティングもマネージメント部門と一緒にやって各校の信頼も得た。
オフェンス出身なのでアメリカなどのプレーを組み込みながらいろんなプレーを取り入れている。ファイターズのキャリアセンターの仕事もしている。選手の就職のサポートもしてくれている。

-鳥内監督の後任としてのプレッシャーは?

私が大学3年の時から監督をしているので。あの見た目とあのしゃべりと独特の間がある方なので、28年間もやっておられたのでね。
やりにくいと思っていないので鳥内さんのいいところを引き継ぎたい。

大村和輝氏(48)プロフィール

   
兵庫県明石市 出身 48歳
1994年 関西学院大学卒。現役時代はOL、DL、TEとして2度の学生日本一に貢献。
5年生コーチを経て卒業。東京海上ドルフィンズ、オール三菱ライオンズで守備コーディネータ、
ヘッドコーチを務め2003年ハワイ大へコーチ留学。
2004年―08年オービックシーガルズでコーチ、攻撃コーディネーターを歴任。
2009年から関西学院ファイターズのアシスタントヘッドコーチ、
11年間で8回甲子園ボウルに出場し7度の優勝を果たす。

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