38年ぶりの日本一に貢献 阪神タイガース・大竹耕太郎
38年ぶりの日本一で2023年の野球界を沸かせた阪神タイガース。そんな阪神タイガースの先発の柱としてチームを牽引したのが、キーマン・大竹耕太郎(こうたろう)選手です。
チームとしてはもちろん、個人としても目覚ましい活躍をみせた大竹選手の2023年。その裏には計り知れない覚悟がありました。
(大竹)「今後の野球人生に向けて、この28歳の1年がすごくターニングポイントだなという位置づけが自分の中であるので、ことしが1番、気持ち的にはやってやろうっていう気持ちが強かったかもしれないです」
高校時代は熊本の古豪・済々黌高校(せいせいこう)のエースとして活躍し、2度、甲子園に出場。卒業後には名門・早稲田大学で1年生から先発を任されるなど、華々しい野球人生を送っていました。
(大竹)「(自分の野球人生は)順風満帆というか…。結果も出て、ベストナインとかも獲っていたので、【(自分にとって)野球って、やれば上手くいくな】っていうイメージでしたね」
「やればうまくいく」から一転 育成からの挑戦
しかし、上級生になると状況は一変。ケガに悩まされ、結果が出ない日々が続きました。
(大竹)「リーグ戦の時もベンチに入らないことも多かったりして、結果が出ないことによる周りからの視線というか…。【上級生になって、あいつ変わったな】とか、そういう声が一番きつかったですね」
結果が残せなかったことで、ソフトバンクに育成選手として入団。オファーが来ていた社会人チームには進まず、茨の道へと進む決断を下しました。
(大竹)「絶対プロに入っても活躍できないっていうふうに、いろんな人から言われました。すごくリスクの高い選択ではあったんですけど、家族が【挑戦してみたら】と背中を押してくれたのが、1番の決め手でした」
2軍で猛アピールを続けると、プロ入りしたその年の7月、自らの力で支配下登録を勝ち取りました。その時の様子を、ご両親は…。
(母)「電話で、支配下になったって泣いてたんですよ。私たちの前で滅多に泣かないんですけど、本人はよほど嬉しかったんだろうなと思います」
「今に見とけよ」反骨心で挑んだシーズン
しかし、努力を重ねてきた大竹選手にさらなる試練が…。2018年8月に念願のプロ初勝利をあげたものの、その後は安定して成績を残せず、勝ち星のないシーズンが続きました。大竹選手の頭には、【引退】の2文字もよぎったといいます。
(大竹)「(当時を振り返って)このまま野球人生終わってしまうんだろうな、と思ったこともありましたし、グラウンドに行くのもしんどいなと思ったり…。何のために野球をしているんだろうと思ってしまうような時期もありました」
そんな中、大竹選手にめぐってきたのは、阪神タイガースへの現役ドラフトでの移籍。指揮を執るのは、大学の大先輩である岡田監督でした。チャンスを実らせようと、背水の陣で挑んだ新天地での野球人生。大竹選手は、キャンプはもちろん、オープン戦でも結果を残し続けました。
(大竹)「【あいつ、もうクビかな】みたいなこともよく言われていた中で、今に見とけよという気持ちで挑んでいました。反骨心じゃないですけど、世間の【こうなるだろうな】を覆したいという気持ちでやっていました」
かけがえない一勝が繋いだ快進撃 ファンからも熱視線
進退をかけて挑むシーズンが開幕。2023年4月8日、本拠地・甲子園での初登板で掴んだ勝利は、大竹選手にとって重みのある1勝になりました。
(大竹)「ここでしっかり投げるか、投げないかで、向こう何年いけるのかが関わっていると感じるので、ホームゲームで初勝利できて嬉しかったです。(応援して下さる方にも)感謝しています。みなさんの応援に後押しされました」
この日、熊本から駆けつけたご両親も並々ならぬ想いを抱いていたといいます。
(父)「幸せ、もうその一言ですね。目の前で息子がヒーローインタビューを受けるなんて想像もしていなかったので」
(母)「ソフトバンクの時の一勝もうれしかったけれど、今度の一勝もまた違う重みがあって、大変うれしかったです」
そんな【これまでとは重みの違う一勝】が大竹選手を覚醒。強打者相手にも大胆なピッチングで挑むなど、多くの壁を乗り越えてきたからこその余裕が、大竹選手の快進撃に繋がっていきました。その姿に、多くの阪神ファンからも熱い期待を寄せられています。
(ファン)「(阪神タイガースに)よく来てくれた!と思います」
(ファン)「大竹選手は先発のエースですね」
(ファン)「これからもどんどん勝ち星をあげて頑張ってほしいなと思います」
名実ともに、阪神タイガースにとってかけがえのない一員となった大竹選手。好調の秘訣をたずねると、意外な答えが…。
(大竹)「野球のことを考えない時間をどれだけ作れるか、というのが大切だと感じています。家に帰って何もやることがないと、何か余計な心配事とかも出てくるので…」
料理を作ったり、花を花瓶に生けたりするなど、家での時間を充実させることを大切にすることが、いい気分転換になっているといいます。
(大竹)「それをやりだしてから急に調子が良くなったので、無心で何かに取り組む時間がストレス解消になっているのかなと感じています」
「使いたいと思ってもらえる選手に」さらなる進化求め奮闘
シーズン終盤の8月を迎える頃、大竹選手の心境にも変化があらわれていました。
(大竹)「(これまでをふり返って)去年は先発で1試合しかしていないので、それに比べたらすごく充実しているなと思います。いい経験をさせてもらっているなと感じています。移籍してきた当時は、試されている感じというか…。【本当にこいつ使えるのかな】というふうにすごく注目されていたと思うので、緊張感が勝っていたように思います」
(ディレクター)「試合で、投げる前に怖いなと思うことは?」
(大竹)「だいぶなくなったと思いますね。去年は、代打で急遽自分が投げさせてもらうことになった時に、投げるのが怖いという感情が一番に出てきたんですけど、今年はやっぱりその辺の気持ちが違いますね。早く投げたいとか、早く対戦したいっていうワクワク感みたいなほうが強いです」
投打に及ぶ活躍で、自身初の二桁勝利を達成した大竹選手。応援してくれる人々への感謝の気持ちを大切にしたいと話します。
(大竹)「(二桁勝利を達成した試合を経て)いいピッチングができました。周りの支えがあって達成できたものなので、お世話になっている皆さんに報告したいなと思います」
進退を賭け、必死に挑んだ2023年。大竹選手はキャリアハイの成績を叩き出し、ポストシーズンもチームの柱としてフル回転。最高の仲間と勝利の美酒も味わいました。
(大竹)「入って来た時からすごく歓迎してもらえたというか…。(チームメイトが)リスペクトを持って接してくださっているので、すごく居心地もいいですし、結果が出ない時も声を掛けてくださるファンの皆さんの支えがあって、頑張ろうと思えたので…。これからも応援して下さる方の気持ちを大切にしたいなと思いますし、ありがたいなと思っています」
年明け1月、大竹選手はすでに今シーズンに向けて動き出していました。
(大竹)「周りにも素晴らしい投手がたくさんいますし、今年も投げさせてもらえるっていうふうには思っていなくて…。なので、ピッチングや普段の振る舞いから含めて、その中でも自分を使いたいと思っていただけるような選手になっていきたいなと思います」
さらなる高みを目指す、大竹選手のことしの目標は…。
(大竹)「去年はイニングが131回と3分の2で規定に届きませんでした。なので、今年は規定とはいわず、もっと投げられるようにしたいです。150回、160回あたりまで投げていきたいと思います」
いくつもの壁を乗り越え、試練の年を糧に変えた大竹選手。さらなる進化を追い求め、自己研鑽に勤しむ期待のキーマンの成長は、熱い視線と大きな応援を集めています。
毎週日曜日 あさ6:00 読売テレビ地上波で放送
「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、この4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
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(2月18日放送)
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