オリックス・バファローズ期待のプレイヤー・吉田輝星

番組が取材したのは、リーグ4連覇を狙うオリックス・バファローズの期待の星・吉田輝星(こうせい)選手。ことし、プロ6年目となる23歳、再起をかけた正念場のシーズンを迎えます。

昨年末、日本ハムからオリックス・バファローズへのトレードの知らせを受けた吉田選手。驚きと共に、思い出の古巣との別れにも気持ちの整理に時間がかかったといいます。

(吉田)「(知らせを受けて)やっぱりびっくりしましたね。本当に、オリックスのキャンプに来るまでは実感が湧かなかったですし…。日本ハムのチームメイトとの別れについても、気持ちの整理がつかなかったんですけど、今はようやく自分の気持ちも落ち着いてきて、オリックスで頑張ろうと思えています」

順風満帆なスター街道から一転　プロ6年目の試練

吉田選手は、6年前の【カナノウ旋風】の主人公でした。金足農業高校のエースとして、圧倒的なピッチングを見せ、秋田県勢103年ぶりの甲子園準優勝の快挙を成し遂げました。

その後は、ドラフト1位指名で日本ハムに入団すると、初登板でプロ初勝利。順風満帆なスター街道を突き進んできました。

しかし、その後はプロの壁にぶつかり、ここまで5年間でわずか3勝。葛藤を抱えながらも、再起に奮闘していた矢先の移籍でした。

(吉田)「自分の与えられた役割をしっかり全うできるようにしたいなと思います」

ことし2月、新天地でのキャンプに参加した吉田選手。リーグ3連覇のオリックス・バファローズを一目見ようと、詰めかけたファンは過去最多を更新。その中でも、吉田選手は高い注目を集めています。

熱い視線が集まる中、キャンプ初のブルペン入り。力みはないものの、コントロールが安定しない吉田選手。そんな様子を見て、中嶋監督からある指摘が入ります。

(吉田)「(中嶋監督から)もっとうまく体重移動ができるはず、と言われました。やっぱり、まっすぐ足をあげて、まっすぐ体重移動して…っていうシンプルなフォームが1番ブレないし、そういうのが1番いいんだなということを、今日あらためて実感しました」

「この先、期待しかない」地元や恩師　そして同級生からも大きな期待

新たな気づきと実感を得た吉田選手。本塁方向に対して左肩が三塁側に入りすぎていたため、力のロスとブレが生じていたようです。

フォーム改造に向け、翌日から特別な練習が始まりました。すべてをまっすぐ、指先に力を伝えることを意識したフォームを意識。来る日も来る日も、ブルペンに残りのボールを投げ続けました。

自分との戦いに真摯に向き合う吉田選手。そんな吉田選手のルーツである秋田県・金足農業高校。現在プレーに打ち込む部員たちは皆、【カナノウ旋風】に魅せられた選手たち。日々、真摯に野球と向き合っています。

吉田選手の恩師であり、部員たちの指揮を執る中泉一豊(かずとよ)監督は、プロの壁にぶつかった吉田選手に、大きな期待を寄せていると話します。

(中泉監督)「今まで吉田選手が体験したことがないような、【思うようにいかなさ】っていうか…。それが1番彼にとっていいことだともいえると思うので、彼のこの先については期待しかないですね」

当時のチームメイトであり、現在はコーチとして後輩を指導する髙橋佑輔さんも吉田さんの活躍を信じてやみません。

(髙橋さん)「プロ1勝目を挙げた時は、やっぱり吉田ってすごいんだなって思いましたね。でも、試合や年数を重ねるごとにプロでは通用しないのかな…とも。負けてほしくないなって思っています」

「今までの僕と全く違う姿を」プロ6年目、再起掲げ奮闘誓う

現在、カナノウのエース番号を受け継ぐのは、吉田選手の弟である吉田大輝選手。大好きな兄に憧れて、野球を始めたといいます。

(弟：大輝)「自分は結構、兄のことが好きなので…。ちょっと落ち込む部分はあるんですけど、兄はあれだけ努力しているんだから大丈夫だろうと思っています」

地元の信頼と期待を背負う吉田輝星選手。キャンプ中盤、紅白戦の登板が巡ってきました。すべてをまっすぐに、そんな思いと意識が滲み出たフォームから、練習の成果と改造の現在地がうかがえます。

(吉田)「やることはシンプルなので、それを繰り返して、ことし1年間ずっとやり続けたいなと思います。そして、しっかり全部ゼロで抑えられるようにしたいなと思います」

衝撃のトレードからおよそ3カ月が経った今、吉田選手は着実に新たなチームで歩みを始めています。地元からの温かい応援が、そんな吉田選手の背中を押します。

(中泉監督)「ここではへこたれないっていうか…。上がっていくしかない、と自分は思っています」
(髙橋さん)「地元の大スターなので、地域の期待も背負って活躍していってほしいなと思っています」
(弟：大輝)「活躍していってもらわないと困るって感じで思っています！」

(吉田)「今までの僕と全く違う姿を、自分自身に対しても、ファンの方や僕を応援してくれる人たちに、見せられるように頑張りたいと思います」

ふたたび、さらに輝く瞬間を目指して、プロ6年目の23歳・吉田輝星選手は、これからも前進し続けます。

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(３月３日放送)