3大会ぶりのメダル奪還へ サッカー女子日本代表・なでしこジャパン

なでしこジャパンGK山下杏也加選手(INAC神戸レオネッサ所属)

今年2月の国立競技場。サッカー女子日本代表・なでしこジャパンは、アジア最終予選で北朝鮮に勝利を飾り、パリオリンピックへの出場切符を手にしました。

まもなく開幕する大会では、2012年のロンドンオリンピック以来、3大会ぶりのメダルを目指します。「あすリートPlus」では、関西から世界に挑む2選手に注目しました。

「点を取れることが自分の存在意義」日本のエースストライカー・田中美南選手

なでしこジャパンFW田中美南選手(INAC神戸レオネッサ所属)

日本代表の中でも誰よりゴールに強いこだわりを持つのは、フォワードの田中美南選手、30歳です。

(田中)「ターンからのシュートや交わしてからのシュートなど、右足でも左足でも打てることは、いろんな得点パターンに繋がるので、両足でシュートを蹴れることが自分の武器だと思っています」

サッカーを始めたのは5歳の時。3歳上の兄の影響でした。日テレ・東京ヴェルディベレーザ時代には、2016年から2019年まで4年連続得点王に輝くなど、国内No.1ストライカーに成長しました。

2020年1月、25歳の時に新たな環境を求めてINAC神戸レオネッサへ。すると、移籍1年目でWEリーグ初制覇に貢献しました。

(田中)「うまくやるだけがサッカーじゃなくて。うまくなくても勝てるチームは勝てるし、相手の逆をとる楽しさとか、正解が1つじゃないところがサッカーの魅力だと思います。やっていて楽しいです」

「あっけなく終わった」東京オリンピックで見えたフィジカルの課題

フィジカルトレーニングに励む田中美南選手

順風満帆に見える田中選手のサッカー人生。そんな中でも忘れられない試合があります。2021年7月、東京オリンピック準々決勝です。

前半22分、競合スウェーデンから田中選手が同点ゴールを奪ったものの、結果は1-3で敗退。目標のメダルは叶わず、悔し涙を流しました。

(田中)「世界との差をすごく感じた大会でした。もちろんチームとしても感じましたけど、個の部分でも、フィジカルで負けていて差を感じたので…何もできなかったな。あっけなく終わってしまったということがずっと心に残っています」

東京オリンピックのピッチで強く感じたのは球際のプレーです。世界で勝ち抜くためには球際の力強さが必要でした。大会後、田中選手はフィジカルの強化をテーマにし、この3年、再びメダルを目指して突っ走ってきました。

「女子サッカーの未来に繋がるプレーを」ベテランの視点で見るオリンピック

トレーニングに励む田中美南選手

所属するINAC神戸レオネッサではキャプテンを務める田中選手。30歳を迎えた今シーズンのWEリーグでは、スピードと強さ、そして課題だったフィジカル面でも順調な仕上がりを見せました。

さらに、最大の武器である得点力に加え、アシストを意識するようになりました。味方をうまく活かすことが、ベテランの域に入った田中選手の新たなプレースタイルとなりました。

(田中)「日本代表にも選ばれている立場で、自分の代表での結果が女子サッカーの未来にも繋がるということを意識せざるを得ない年齢になりました。サッカー選手としてのキャリアをどう終えるかというのを考えるフェーズに来ていると思います。フォワードって点を取ったらヒーローになれるポジションなので、自分のサッカー人生の集大成とも言えるオリンピックで点を取って、チームを救えるように頑張りたいです」

日本の守護神・山下杏也加選手

なでしこジャパンGK山下杏也加選手(INAC神戸レオネッサ所属)

なでしこジャパンの守備の要となるのは、INAC神戸レオネッサに所属するゴールキーパーの山下杏也加選手。2021-2022シーズンのWEリーグ初年度にMVPに輝いた守護神です。

日本代表では2015年にデビューし、長らくなでしこジャパンの砦としてゴールを守り続けています。高い身体能力が武器で、ピンチの時には果敢に体を張ってチームを救ってきました。

(山下)「決定的な場面を阻止して相手が悔しがっている姿を見ると、心の中で“よっしゃー!”と思います。WEリーグの他のキーパーと違うシュートストップだったり、キャッチへの追及だったり、次の自分たちの攻撃に繋がるキャッチの美学を見てもらいたいです」

“山下の1ミリ” 背景にはリオの悪夢と若手への思い

なでしこジャパンFW田中美南選手とGK山下杏也加選手(INAC神戸レオネッサ所属)

山下選手といえば記憶に新しいのは、今年2月のパリオリンピック・アジア最終予選で見せた“山下の1ミリ”。

北朝鮮選手のヒールシュートに素早く反応し、ゴールラインギリギリでかき出すファインセーブでした。ビッグプレーの背景には、8年前の経験がありました。

(山下)「試合の前に2016年のアジア最終予選のことが頭をよぎったんですよね。リオデジャネイロオリンピックの出場を逃して、会場に足を運んでくださった人たちをがっかりさせてしまったことや、選手たちに罵声が浴びせられた嫌な記憶がよぎって。同じ経験を今の若い選手たちに絶対にさせたくないという思いで試合に臨んだから、多分あのプレーが出たのかな」

“死のグループ”にも気後れせずチャンピオンを目指す

インタビューに答える山下杏也加選手

まもなく開幕を迎えるパリオリンピック。なでしこジャパンはスペイン・ブラジル・ナイジェリアと同じ“死のグループ”と呼ばれる予選グループCに入りました。

初戦は世界ランク1位のスペインが待ち受けていますが、頼れる守護神に、気後れなど一切ありません。

(山下)「自分は1位にしか興味がないというか、1位にしか価値がないと思っているので。初戦のスペインに必ず勝って、自分たちがオリンピックチャンピオンになりたいなと思っています」



「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、この4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
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(6月16日放送)

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