【陸上/やり投】偉大な先輩ディーン元気に続け!高校チャンピオン 巌 優作(兵庫・市立尼崎高)

投てき王国 市アマの先輩後輩が新国立でビッグアーチ

六甲おろしで冷えこむ師走の尼崎、ひとり黙々と練習に励む選手がいます。
鍛え抜かれた筋肉質の肉体と男らしい凛とした面構え。
巌優作(いわお・ゆうさく)選手、高校投てき界の名門、市立尼崎高校の3年生です。
ことし8月のゴールデングランプリ陸上、シニアの国際大会に高校生でただひとり出場チャンスを得た巌選手は、新国立の大舞台で躍動。
日本高校歴代2位となる74m29cmをマークし6位入賞を果たしました。
奇しくもこの大会は高校の大先輩・ディーン元気選手(28)が8年ぶりの復活優勝。
市尼の2人が揃ってビッグアーチを描いた大会となりました。

右:ディーン元気(29)、左:巌優作(18)

巌優作 IWAO YUSAKU プロフィール

2002年4月生まれ 18歳
兵庫県神戸市出身
身長/体重 180cm/86kg
自己ベスト 74m29cm (日本高校歴代2位)
好物 シュークリーム
趣味 ネットサーフィン


巌優作18歳、ディーン元気、新井涼平と日本のトップを競える逸材

中学までは地元のクラブチームで野球のピッチャーをしていた巌選手、やり投は高校に入ってから本格的に始めました。
飛躍的な成長を見せたのは今シーズン、コロナ自粛あけの7月、兵庫県大会で71m91cmを出してディーン元気選手の持つ記録を11年ぶりに更新。
現場で観戦していたディーン選手は言いました。
「僕が教えてもぼんやり『分かりました。何となくやってみます』っていうより、それがどういう意味なんだろうとか、自分の動作にどう取り入れようとか結構深く考えている。
僕の言うことを聞き過ぎず、自分のものにして良いところを盗んでできる選手だと思うので、そういう部分が彼を強くしてる。」

今シーズン安定して70m台を連発し、高校記録まであと一歩のところまで成長した巌選手。
陸上部で指導する大久保先生も「2年以内には日本のトップレベルで争える選手になれる資質はある。」と期待を寄せます。
先輩のディーン、日本チャンピオンの新井涼平らと競い合える逸材は更なる飛躍を求めて、来春は筑波大学に進学予定。
やり投げ界のホープ 巌優作選手に話を聞きました。

巌 優作 インタビュー

Q,スポーツ歴から教えてください?

A,やり投歴は高校から始めたので今年で3年目になるんですけど、中学の時は野球をメインでやったので陸上はそれほどやってなかったですけどジャベリックスロー(軽くて短い子供用のやり)の経験から(市立尼崎)高校に誘ってもらってやり投を始めることになりました。

Q,野球のポジションは?

A, ポジションはピッチャーやってました

中学時代は神戸のクラブチームで野球をしていた。ポジションはピッチャー

Q,初めてジャベリックスローをやった時の印象は?
  *ジャベリックスローJavelic Throw はやり投げの小中学生向けの種目

A, 特になかったですけど、やってるうちにだんだん飛ぶようになっていきました。

Q,高校からやり投を始めた理由は?

A, 野球はクラブチームでやったんですけど、中学2年からずっと1年ぐらいイップスになっていてうまく投げれずそのまま終わってしまっんです。
とりあえず野球から離れようっていう形でジャベリックスロー始めました。
その後、高校野球するか陸上するかってなった時、高校はある程度の進学校に行く予定やったんですけど、大学進学を考えると市尼でやり投する方が進路選択の幅があるかなと考えて陸上のやり投にしました。

Q、やり投げとはどんな競技?

A, 陸上競技の中で唯一走る・跳ぶ・投げる動作があると思うんですけど、走るは助走で、飛ぶが最後のラストクロスで、投げが実際のやり投げっていう競技なんですけど、
走ってきたエネルギーを一気に止めて投げるっていう、爆発的な迫力は他の種目よりも僕は感じます。

Q,やり投げの魅力は?

A, やってる時は夢中になってるけど、本当にメッチャ好きっていう感じではなくて、
でも3年生になってコロナの時期、ずっと自粛生活していた時期に一人でずっと練習するようになったんですけど、その時一人でやっていつも以上に練習に取り組む姿勢に変わったんじゃないかと。そこでやっぱり一人でもやり投げ結構やっていけるんだなというのを感じました。 特に理系ではないけど、好きでやっているうちに色々調べるようになっていたりします。



Q,自分で練習を組み立てるやり投げ練習が合っていた?

A, 中学の時は野球の練習好きじゃなかったんですけど、陸上って個人種目で、練習も自分でするしかないので、意外と自分に向いていたのかなって思います。

Q,高校3年では安定して70m台と結果がついてきたが?

A, 高校1・2年の時は練習なんとなくやってたんですけど、高校3年にになってディーンさんと連絡を良く取るようになって、フィンランド合宿にも同行して、練習のやり方とかどうやったら強くなるかなと考えるようになって、やってきたことがこの3年生のシーズンで去年から右肩上がりに成績に出てきたと。やってることはある程度は合ってるのかなと感じています。

Q, 自分の中で掴んだコツは?

A, トレーニングもそうなんですけど技術面で今年の一番大きな気づきっていうのが、3年生のシーズンに入る前に海外の人の投げとかを見て研究してた時に「右腰の使い方」っていうのを先輩とかによく言われたのを気づいて、それで自分で公園とかでボール投げたりしてどうやったら上手く使えるのかっていうのを考えながらやっていたら自分の体に染み付いて、コロナの休みの期間あけ、練習で投げた時に意外と距離がすごい伸びてて、そこが一番大きな気づきでした。

Q、自分で発見した時の喜びは格別?

A, はい!(笑)

インタビュー収録は12月12日 市立尼崎高第2グラウンド

Q, 今年は何を目標にして過ごしてきた?

A, ずっと1年生の時からインターハイ優勝っていうのを目標にしていて、それは(コロナで)無くなったんですけど、最後はどっかで試合があれば高校記録絶対出したいなっていうのは3月4月ぐらいに決めてました。

Q、8月のグランプリ陸上で高校歴代2位の記録を出しましたが

A, その前の試合で72m出したんですけど、自分的には感覚はそんなに良くなくて、自分の中ではあのゴールデングランプリも自分の投げがしっかりできたらそれぐらいは行くと思ってたので、特に驚きとかなかったです。

Q、高校記録まであと2mだったが塗り替える自信はあった?

A, 自信はありました。練習の中でもゴールデングランプリ終わってから大学の先生とかにも技術のアドバイス頂いて、それが9月ぐらいに結構いい感じに体に馴染んできてたんで、
それで練習のベストも2・3mぐらい更新していたんでこれはイケるなっていう確信はあったんですけど。
思ったより右肩上狩りに10月まで自分の調子をキープできなかったので、そこが(記録が)出なかった原因かなと思います。

Q、大学では何を伸ばしたい?

A, 全体的にバランスよく伸ばしていきたいなと、自分の今の一番の課題は走力だと思っているので。今シーズンのオフシーズンと大学4年間で走力と後はバランス良く全体的に鍛えることを頑張りたいと思っています。

Q、ディーン先輩との出会いは?

A, 出会いは中学3年の時に市尼に練習に来た時、たまたまディーンさんが来られていて、先生に紹介してもらって初めて喋ったのが出会いです。
今の時点ではすごい憧れの人なんですけど将来的にはやっぱり抜かせるような選手にはなりたいと思っています。
(ディーン選手は)大学生でオリンピックに出られていて、そこからはケガとかで思うような成績を出せてなかったと思うんですけど、その時に自分の芯を持って何年も苦労し続けてやっと今年すごい(記録で)復活されたので。
自分の芯をもってしている部分をすごい尊敬しています。

Q、技術的な部分で影響は?

A, (ディーン選手と一緒に)投げたその日にここがこうっていうのを教えてもらって、それでディーンさんの投げとかを見て自分も勉強しながら、ディーンさんにはなれないと思ってるので、自分の中で自分の投げがアドバイスもらった中で自分に取り込めるような感じにはしています。

Q、彼はケガで苦労したが体のケアでアドバイスは?

A, 去年肩のケガをした時に肩のリハビリとか教えてもらったんですけど、リハビリのレパートリーがすごく多くて(笑)あとはケガする前に自分でブレーキかけるっていう、自分で考えながら体の調子を見て調整することもよく言われています。

Q、今後の目標は?

A, 来年の目標はディーンさんが持ってるU-20の日本記録(78m57cn)の更新とU-20世界ジュニアが開催される予定なので、そこで3位入賞と全日本インカレ優勝を目標にしています。
今のままだと抜かせないと思うので、今までよりも進化した練習をしないといけない
と思っています。

Q、その先の目標は?

A, 大学3年か4年ぐらいの時にパリオリンピックが開催されるので、そこに出られるように目標にしたいのと、その先さきの4年後(のオリンピック)で世界と勝負できるように、決勝で8位入賞を狙えるように頑張りたいと思っています。

Q、距離的にはどのぐらいまで行きたい?

A, 日本記録は更新したいなと思っています。(何年後までにとかは)ないですね(笑)

取材:読売テレビディレクター 青木芳人