ことし3月。日本新記録、大会新記録が続出した、陸上日本室内選手権。
スタンドは無観客でしたが、大阪城ホールには、選手たちの熱気や歓喜の声が溢れていました。

その中に、学生として競技生活を終えた1人の大学生がいました。
関西大学陸上競技部の最終学年4年生の田上陽菜(たがみひな)選手です。

       

10年間続けた陸上も一区切り。胸の内を明かしてくれました。
「(室内陸上が)終わった直後とかは、またやろうかなと思ってはいたんですけど、実際(新生活が)始まってできるかなって。やりたいけど、できるか半々ぐらいの感じです」

今から約2年前、3年生で関西インカレ2連覇、大会新記録の13m03を跳び、伸び盛りだった田上選手。
可能性を秘め、東京オリンピック出場を夢見て学生生活をトレーニングに明け暮れていました。

       

       

しかし、半年後。新型コロナウイルスの影響で学生生活だけでなく、競技や大会などすべてがストップ。東京オリンピックも延期となりました。

「コロナがなかったら、もしかしたら実業団に行っていたかもしれないです。就職先があれば…の話ですけど、もっと必死に実業団を探してたと思います。」



世界中に立ち込めた暗雲は、学生スポーツにも大きな影響をもたらします。
田上選手は大学を卒業してからも、実業団で競技を続けることを考えていましたが一転、陸上選手ではなく一般の社員としての就職活動へ。
コロナ禍の就職活動という誰も体験したことがない中、無事、一般企業に内定します。

そんな状況中でも、ポジティブなこともあったといいます。

「コロナのせいで、自分が全部狂ったというよりかはコロナがあったから気付けたことってすごく自分の中で多くて、
それこそ自分は練習、みんなでやる練習が好きだったんだなとか、何かあった時に自分を律し、自分で決めたことを律してできる、
律するのが得意じゃないタイプの人間なんやとか、今更ですけど気づけたというのもあります。
逆に(今までの)環境的には結構恵まれてたんやなと、いい気づきがあったのも大きいのであんまりコロナに対して、亡くなっている方とかもいるので良かったとは言えないですけど、私にとっては何か良いきっかけになったかなというのがある。
当時は結構なんか試合無くなって嫌だなとか思ったりしていたんですけど、引退してみて思うのは、悪いことでもなかったかなって思います。」

競技会も徐々に開催されるようになり迎えた2020年の秋、9月日本インカレ、そして翌月の関西インカレ。

       

同じコロナ禍で過ごしてきた学生たちとの戦い。
環境は同じ、ところが田上選手は自己ベストの更新ならず、満足できる結果を残すことが出来ませんでした。

「なんか弱さが出たかなという感じ、率直な感じで。予選、日本インカレは最後のインカレで、結構自分では、最後に残り1回やしっていうので出たんですけど予選敗退で。
関西インカレで(結果は6位)結構ひどい数字で終わって、いい思い出ではなく、あまり良くはなかったかなっていう感じです。
(終わった直後は)もうなんか「何やってるんやろ」という感じで、負けて悔しいというより「何やってたんやろう」という情けなさというか、自分に情けなくなってそっちの(感情が)大きいです。大きくて泣いたりしました。」
それから約半年、他の選手たちが引退していく中、週5回のトレーニングを続けていた田上選手。
そして3月。大阪城ホールで行われた日本室内陸上競技大阪大会。

記録は12m32 有終の美を飾ることはできませんでしたが
ここまで10年間の選手キャリアを通して思うことは…。

「個人的には、陸上を通してたくさんいろんな経験をさせてもらっているところもあって楽しかったんですけど、関西とかはあるんですけど、全国の舞台で一番というタイトルを取ったことがなくて、
いつも5番とか6番とか残念な数字で終わっていたので、せっかく10年やったんやったらステージを変えてでも、どこかで一番、全国一番というのが欲しいなというその謎のこだわりで続けようか、続けないか悩んでいます。」



新生活も始まり、初めての一人暮らしをするという田上選手。
両親から心配されていることが…。
「お金のやりくりとかですかね。『ちゃんと自分で、生活費とか食費とか、お金が足りないってならないように使える?』みたいなことは結構心配されてます。
浪費家ではないんですけど、今まで自分で予算をやりくりするっていうのはなかった。そもそもそんなにお金を使うタイプじゃなかったので、予算を組んでお金を使ったことがなかったので。
あと整理整頓、結構心配されています。『ゴミ出しの日とかちゃんと自分でしなあかんねんで』って言われたりはします。」

不安を期待が入り混じった新たなスタート。またいつか、競技場で田上選手の雄姿を見られる日が来ることを楽しみにしています。

田上陽菜 TAGAMI HINA プロフィール

1998年7月9日生まれ 22歳
大阪府出身 165.8cm
2018年 2019年 関西インカレ三段跳び2連覇
関西大学を卒業後は、一般企業に就職
夢はディズニーホテルに1か月宿泊すること

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