史上最速の決戦 100m決勝を制したのは…!

山縣、サニブラウン、桐生、小池、多田…。
日本のスプリント史上最速のメンバーで争われた男子100m決勝、フィニッシュラインを一番で切ったのは多田修平選手(25)でした。
あまり報道はされませんでしたが、前日の会見で多田選手は言いました。
「自己ベストが出るときはいつも2位ばっかで、なかなかてっぺんに立つことが出来なかったんですけど、
 今回こそは “多田は強いんだぞ”というところを皆さんに見せつけたいと思っています」
磨き上げたスタートからの加速で身体2つ3つ前に出る。
今年からイメージしてきたトップスピード(最高速)を中盤以降にもってきたことでライバルは焦る。
「追いつけないかも?」と思わせる圧巻の加速。
2021シーズンの “新”多田修平の強さを見せつけた勝利でした。


有言実行 夢を公言して叶えてゆくこと

あすリートが多田選手の取材を始めたのは、彼がまだ無名の関西学院大学3年のときでした。
屈託のないさわやかな笑顔でトラックでダッシュ練習を繰り返す彼が、はにかみながら夢を語ってくれました。

「最大の夢は東京オリンピックの決勝に残って、世界トップレベルの選手と競り合える選手になりたい」

高校時代のインターハイは6位、当時はまだ全国レベルでは優勝経験のない無名の20歳でした。
インタビューした私たちも、オリンピックの100m決勝か、夢は大きい方がいいよね と現実味はありませんでした。
ロケットスタートでガトリンを驚かせたセイコーグランプリ、追い風参考ながら国内初の9秒台をマークした学生個人選手権、
雨中の日本選手権、そしてボルトと走った世界陸上ロンドン大会…
この夏、いっきにブレークした多田は一躍陸上界の“主役”に躍り出ます。
以後、多田選手はスプリント界の第一線で活躍を続けるも一番になることは出来ませんでした。
一学年上の桐生選手が日本人初の9秒台を出した日本インカレ決勝では2位、自己ベストを更新するも悔しさしか残らず、
その後、迷いの森に入った多田選手は走りの改良に試行錯誤を繰り返す日々。
そして、オリンピックイヤーの今年、6月の布勢スプリントで輝きを取り戻します。
「オリンピック参加標準を突破したのは嬉しいんですが、またも目の前で日本記録を出されて…」
山縣選手の日本記録更新のレースでまたも2位、“日本記録のアシスト役”、“引き立て役”を脱したい意地は大一番 日本選手権で爆発します。
二十歳のときに語った夢を一歩ずつ叶える多田修平選手の軌跡を秘蔵映像をまじえ振り返ります。

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