16日、今シーズン限りでの現役引退を表明したオリックス・バファローズの能見篤史投手兼任コーチ(43)が、京セラドーム大阪で会見を開きました。
美しいワインドアップから放たれるキレのあるフォークが代名詞のベテランサウスポー。阪神で16年、オリックスで2年。5度の2桁勝利など通算104勝を挙げ、昨年は兼任コーチとしてオリックスの25年ぶり優勝に貢献しました。
終始穏やかな表情で会見に臨んだ能見は「18年間で声援が力になること、奮い立たせてくれた場面が多かったので、振り返って本当に感謝しかない。ありがとうございます」とファンに向けメッセージを送りました。会見の最後には能見を恩師と慕う、山本由伸・山岡泰輔・宮城大弥から花束を贈られました。
能見篤史 引退会見 一問一答
(能見)お集まりいただき、ありがとうございます。私ごとですが、今シーズンをもちまして、私、能見篤史は引退をすることにいたしました。
Q、引退を発表した今の気持ちは?
(能見)ほんと悔いなくというか、18年っていう長い現役生活でしたけども、ほんとにやり切ったなという感じです。
Q、引退を決意した時期は?
(能見)正直に言いますと、去年、もう1年契約していただいた時にその意思は一応伝えていたのでそんな感じです。
Q、引退を決断した理由は?
(能見)兼任という立場でしたので、自分が投げるよりもいろいろ選手を見させていただいた。その選手が成長していく、試合の中で成長していく姿が非常にうれしかった。もうその時点で選手としての自分の気持ちもだいぶ薄れていたので、それが一番の理由です。
Q、最初に引退を伝えたのは誰?
(能見)まずは家族が第一なんですけども、家族にまずは自分の意思というものは伝えました。
Q、家族の反応は?
(能見)ほんとに長い間、支えていただいたところもすごくある。ほんとにお疲れさまという感じです。
Q、中嶋監督からはどんな言葉をかけられた?
(能見)監督室でお話をさせていただいて、監督らしく「ほんとに辞めんの」っていうありがたい言葉も、「もう少しあがけ」と言ってもらったが、ほんとに自分の中でも気持ちがしっかりついている。僕の意思というのは伝えました。
Q、その言葉に決断が揺らぐことはあった?
(能見)なかったです。逆にまだ選手として見てくれてるっていう方がすごくびっくりしたので。
Q、チームメートからはどんな言葉が?
(能見)みんなにあんまり伝えてなくて、みんなネットで知った感じなので、特にそんなに。辞めるんですかっていう感じなので。
Q、能見自身が成長させた投手陣は驚いたのでは?
(能見)僕は大して何か特別なことはしてなくて、ほんとにその選手たちの実力というか、そういうものが発揮できるようになってきていた。たまたま僕がそこに寄り添う形でいただけなので、僕だけじゃなく、いろんなコーチの方々のサポートがないと、なかなかそういう成長につながらない。僕は選手よりに近い分、取り上げられることが多いが、ほんとにコーチの方々、監督もそうだが、いろんな思いがある。僕がいいとこ取りみたいな感じになっているので、そこは僕だけじゃないです。
Q、選手からはどんな言葉を?
(能見)「まだ早いですよ」とかの言葉はいただいたが、ほんとにこの年でいつまでもいるわけにもいかない。そこは選手が頑張ってもらうのが一番いい。
Q、阪神に在籍した16年間については?
(能見)非常に濃かったというか。16年、終わってみればあっという間というか、その中にはいろんなこと、結果が出ないときもあったし、いろんな叱咤激励をいただいたりもあったが、でも終わってみればあっという間で、1年1年長いが、短かったなっていう感じですね。
Q、阪神に在籍している間の一番印象に残っていることは?
(能見)難しいですね。でも主力として投げている時が一番充実してるというか、やっぱりその中でも大変なことはあったが、難しいですね。でもCSで甲子園で広島と接戦でやっていたのはすごく印象深くて、あの時はいろんな声援のサポートもあって、いいピッチングができたのをすごく覚えています。
Q、オリックスに在籍した2年間は投手とコーチを兼任となったが?
(能見)環境がガラっと変わった。ほんとに新鮮というか、自分の知らない世界の中に入ったので、また違った野球観というのはすごく感じました。
Q、40歳を過ぎて新天地へ。戸惑いなどは?
(能見)戸惑いはなかったですけど、入団させてもらって、ほんとに周りの方々っていうのがすごく迎え入れるような環境で接してもらった。緊張というよりも温かく迎えてもらったのがすごくありがたかったです。
Q、オリックスで印象に残っていることは?
(能見)日本シリーズじゃないですかね、やっぱり。正直、あそこで投げるとは思ってはなかった。そこで名前をブルペンから呼ばれて、あそこはちょっといろんな意味で大事なところだったので、すごい印象に残っています。
Q、村上を打ち取り、神戸のファンも大きく沸いていた
(能見)非常にありがたかった。あそこは抑えられてよかったなっていう安堵の方が大きかったので。
Q、18年間、現役を続けられた要因は?
(能見)一番はいろんな方々にサポートしていただいて、そこが一番大きいですし、もちろん家族も含め、いろんなチームメートもそうですし、いろんな方々に接して、いろんな方々に協力していただいてここまできている。そこは感謝というか、あとは声援も非常に力になったので、そこまで奮い立たせてくれたところはここまでできた要因かなと思います。
Q、苦しいときに自身を支えたものは?
(能見)一番は家族。どんな時でも味方というか、僕の苦しい気持ちを察してもらっていたので、そこは一番大きいかなと思います。
Q、13年はWBCにも出場
(能見)あんまり思い出したくないんですけど、日の丸をつけたのも初めてでしたし、また違った雰囲気というか、いろんな重みを背負った感じでさせてもらった。いい経験になったが、代表として発揮する難しさも感じました。
Q、対戦してすごさを感じた打者は?
(能見)各球団にいますけど、1人挙げるとしてもなかなかそれは出てこない。各選手それぞれ個性があって、いろんないい打者がいたので、ちょっと挙げるのは難しいですね。
Q、18年間は楽しめた?
(能見)あんまり楽しめはしなかったので、なかなか難しいですね。
Q、後輩にはどんな思いを託したいですか?
(能見)まだまだ現役生活も続きますし、大変なことってたくさん、試合でもありますし、苦しい時も必ず出てくる。そこからが大事だと思うので、そこでどうするかが非常に各選手、一番大事な部分だと思う。悔いなくというか、後悔はしないようにしてほしいなとは思います。
Q、能見のことを山本は「神」、宮城は「父」と呼びます
(能見)ちょっと由伸は僕が思っている次元が違うので、正直、あのクラスのピッチャーの気持ちがあんまり分からない。でも本人は芯がしっかりしているところもあるし、何よりもまず人の話をちゃんと聞き入れる姿勢がすごい部分。あの子はしっかり自分のやるべきことを分かっている。特に心配はしていない。
Q、宮城は今季も2桁勝利に到達
(能見)まだ20歳ぐらいですので、まだまだ伸びしろもあるし、いろんな壁にぶち当たるところは出てくる。そういう時も自分を見失わないようにしてもらえたらどんどん成長していくと思う。
Q、山岡とは試合前によくキャッチボールしていますが?
(能見)ずっとキャッチボールの相手をさせてもらっている。本人がどう思っているのかはちょっと分からないが、今までやってきているので、どんどん成長してくれると思う。
Q、チームは若い投手が育ってきていますか?
(能見)育ってきていると思います。そこで使える監督、監督が起用できるのが逆にすごい。18年やってきて、ある程度、ピッチャーって勝ちパターンがいたり、いろんな役割があると思うが、それでもどんとマウンドに上げられ、それがいい方向にいくのがすごくて、何だろうなといつも考えている。何よりもチームの環境自体がそうさせてると思うが、いろんな方々、コーチの方々もそうですし、環境づくりをしているところはすごいなと思います。
Q、引退後について
(能見)まだすぐなので、ほんとにこれからだと思います。僕だけじゃなく家族とも相談しないといけないですし、こうやって18年やらせていただいているので、何かしら(野球界の)力になれればいいかなとは思ってます。
Q、18年間でやり残したことは?
(能見)僕個人はないですけど、コーチとしての立場で言うなら日本一は取ってないので、そこは取れるチャンスがあるので、そこが一番の目標かなと思います。
Q、昨日(15日、日本ハム戦)延長戦を制した
(能見)最後の最後まで分からないので、あとはしっかりとできることはしていきたいと思います。
Q、甲子園、京セラドーム大阪のマウンドはどんな場所?
(能見)どちらも関西というところもまた何かご縁があって、マウンドに立たせていただいていた。ピッチャーとしての18年間で1番、2番で投げた球場なので、プロ野球で言ったら原点になる。
Q、引退セレモニーも予定されている。家族なども来場する?
(能見)そうですね。でも優勝争いはしてるので機会があるかどうかは分からないですし、できることは準備します。
Q、最後にファンへメッセージ
(能見)まずは18年間の現役生活、いろんな方に支えられて、いろんな声援をいただいて、人間として成長させてもらったので、感謝しています。ほんとに18年間で声援が力になることがすごく多く、奮い立たせてくれた場面もすごく多かった。振り返ってみると感謝しかない。ほんとにありがとうございます。
能見篤史(のうみあつし)プロフィール
兵庫県豊岡市出身
1979年5月28日生まれ 43歳
左投げ左打ち
ポジション:ピッチャー
鳥取城北高校〜大阪ガス〜阪神タイガース(2005-2020)〜オリックス・バファローズ(2021-)
最多奪三振タイトル(2012年/172奪三振)
月間MVP:5回
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