「日本のプロ野球かメジャーリーグに」無限の可能性秘めウガンダから日本へ

カトーエドリン選手(兵庫ブレイバーズ)

日本から遠く離れたアフリカ・ウガンダ共和国。兵庫県三田市に母国・ウガンダへの強い想いを胸に、野球に懸ける選手がいます。

関西独立リーグである兵庫ブレイバーズの投手・カトーエドリン選手。現在17歳、日本ではまだ高校生の年齢である彼は、故郷・ウガンダから遠く離れた日本で、毎日強い想いを胸に野球に打ち込んでいます。

(カトー)「僕はまだ若いので、大きなチャンスも大きな夢もあります。もっと練習してレベルを上げて、日本のプロ野球かメジャーリーグにいきたいです」

夢を語るいきいきとした表情とビッグスマイルが素敵なカトー選手。しかし、一度マウンドに上がれば表情が一変。真剣な眼差しで相手に立ち向かいます。

長い手足を生かしたフォームから放たれる直球は、なんと140キロ超え。無限の可能性を秘める17歳のポテンシャル、プロ野球界からも高い注目を集めています。

「常に自分の国のことを」母国への想いと夢

取材に応じるカトー選手

カトー選手の母国・ウガンダ共和国は平均年収が10万円と言われ、国民の貧困が大きな課題となっています。そんな故郷で生まれ育ったカトー選手が野球と出会ったのは、8歳の頃。JICAの活動を通じて、日本人から野球を教わったことがきっかけでした。

しかし、経済状況が厳しいウガンダ共和国では、野球道具も練習環境も発展途上段階。そんな中、ある一言に出会ったことをきっかけに、彼の人生の歯車が回り出しました。

【野球には外国でお金を稼ぐチャンスがある】、そうカトー選手に教えたのは、9年前、兵庫ブレイバーズに所属し、日本での活躍に挑戦したオケロ・ペナードさんでした。オケロさんは、日本での活動後、ウガンダ共和国で野球の技術指導をスタート。その元で練習に励んだカトー選手は、晴れて日本からのオファーを勝ち取りました。

(カトー)「最初にコーチから言われたのは、【常に自分の国のことを考えて行動しなさい】ということでした。そしてもし、日本のプロ野球かメジャーリーグと契約ができたら、【今度は君が故郷の仲間を支援しなさい】ということも言われました」

「故郷の仲間に大きな夢を与えたい」ハングリー精神でNPBへ

日本語の勉強も欠かさない

母国への強い想いを胸に、日々プロへの道に懸けるカトー選手。JICAの一員で、ウガンダナショナルチームの監督も務めた田中勝久さんは、厳しい環境の中でもウガンダ共和国の人たちが野球に懸ける理由について、このように話します。

(田中)「(ウガンダ共和国の人たちにとっては)野球を職業にしないと、野球をする意味がない。野球で勝負できる人は、【プロ野球選手になってお金を稼いで、家族を助けたい】という強い気持ちがあります。そこが日本の選手とは違うところだと思います」

ウガンダ共和国の人たちにとって、野球はお金を稼ぎ、家族を助ける手段。日本にはないハングリー精神、それがカトー選手の原動力です。

(カトー)「故郷の仲間は私のことをとても信頼してくれています。そんな彼らに、大きな夢を与えてあげたいんです。自分の才能を生かせば、外国に行って、私のようにお金を稼ぐことができるんだと示してあげたいんです」

日本では寮生活のカトー選手。チームが営む整骨院で施術を受けるのも、カトー選手にとって大切なライフワークです。

(トレーナー)「筋肉もしっかりあるし、人種的なバネもの強さもあるので、もともと持っているポテンシャルがちゃんと上手くハマればいいと思います。僕は毎日、カトーに【100マイル出せよ】って言ってます」

施術のあとは、部屋に戻ってリラックスタイム。来日してから2年もの歳月を重ねてきたカトー選手。そんな彼が週に1度通う場所、それは地域の日本語教室です。

(カトー)「こんばんは。よろしくお願いします」

語学の勉強も日本での活躍への大切なステップです。

(カトー)「(テキストを見て)ちゃんぷら…?」
(先生)「これは、天ぷら。日本の食事やな。和食なんやけど、食べたことある?」

テキストに描かれたひとつひとつの単語に、丁寧に向き合うカトー選手。マウンド以外のシーンでも、夢へのステップに真剣に向き合います。

「準備はできている」新たなステージへの挑戦

未来を見すえる目は輝く

ことし8月に行なわれた試合。「ウガンダスペシャルデー」とされ、カトー選手が主役のイベントゲームとなりました。ウガンダ国歌が試合を彩り、カトー選手の闘志にも火がつきます。

出番は5回、ピンチの場面でやってきました。4点ビハインド、1点も許されない状況での初球は、自慢のストレート。その後も力で押し、相手を追い込みます。そして2ボール2ストライクからの5球目も、強気のストレートで圧倒し、見事ピンチを切り抜けました。

(カトー)「いいパフォーマンスができたので、すごくいい気持ちです。ウガンダにいる後輩たちの目標になれるような、偉大な選手を目指して頑張りたいです」

今シーズン、チームの中継ぎを担ったカトー選手。ことし11月末、2年ぶりの母国への一時帰国が叶ったカトー選手。故郷には、大切なガールフレンドもいるようです。

(カトー)「(写真を見せて)とっても可愛いでしょ。僕がウガンダに帰ったら彼女はびっくりするだろうね。みんなをおどろかせてやるんだ!」

純朴な笑顔は、青春真っ只中の17歳そのもの。野球へのまっすぐな気持ち、そして故郷への強い想いを胸に、ウガンダ人初のプロ野球選手、NPBへの道を目指します。

毎週日曜日 あさ6:00  読売テレビ地上波で放送



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