初優勝へ勝負のシーズン開幕、エース橋本も復帰

エース橋本拓哉 1年半ぶりの復帰へ

炎や光を駆使し、まるでライブ会場のような迫力のアリーナ演出でファンを魅了するプロバスケットボール「Bリーグ」。

開幕7年目を迎えた今シーズンは、全国24のクラブが東地区・中地区・西地区の3地区に別れ、頂点を争います。東地区には、去年王者の宇都宮ブレックス。一方、西地区の「大阪エヴェッサ」は、昨シーズン8位からの巻き返しを狙います。

今シーズンは、新コーチを招き、今までにないプレースタイルを取り入れ、開幕への準備を進める大阪エヴェッサ。そして2度のアキレス腱断裂で1年半コートを離れたエース橋本拓哉選手が復帰。新体制でBリーグ制覇を目指します。

最新のプレースタイル ヨーロッパのバスケットボールとは?

今季就任したマティアス・フィッシャーHC(新体制発表会にて)


大阪エヴェッサは今シーズン、新ヘッドコーチにドイツ人のマティアス・フィッシャー氏を招き、チームに新たな風を吹き込みます。マティアス氏を招いた理由について、キャプテンの竹内譲次選手は常識にとらわれない、ヨーロッパのプレースタイルを取り入れるためだといいます。

(竹内)「マティアスコーチはヨーロッパのバスケを構築しています。昔で言うなら身長が大きい人はリングの近くにいたり、ガードはボールを運ぶスタイルが当たり前でしたが、ヨーロッパはポジション関係なくやる。例えばスラムダンクで言うと、センターのゴリでもボールを運ぶ。そういうプレーが今のヨーロッパのトレンドだと思います。」

クラブ創設22年目。新たなスタイルを取り入れ挑戦するエヴェッサ。クラブ名の由来は、商売繁盛の神様「戎様(えびすさま)」。大阪では「えべっさん」の愛称で親しまれ“大阪の街を活気づける存在に”という願いが込められています。そんなエヴェッサは、アットホームなところも魅力の1つ。

驚異の身体能力と豪快なプレー!最年長アイラ・ブラウン

40歳の誕生日を迎えたアイラ・ブラウン選手


取材に訪れた8月3日、練習後のコートから聞こえたのは野太い声のバースデーソング。この日、40歳を迎えたクラブ最年長、アイラ・ブラウン選手の誕生日をチームメイトがサプライズでお祝いしていました。

アイラ選手のポジションはパワーフォワード。身長197センチ、体重107キロの巨体から繰り出すダンクシュートは豪快そのもの。ゴール下を守る一方でアウトサイドからの繊細なシュートも得意とし、驚異の身体能力でファンを魅了します。

2016年には日本に帰化し、3人制バスケットボールの日本代表として東京オリンピックにも出場しました。パワフルで茶目っ気もたっぷり。仲間を大切にするナイスガイです。

アイラ・ブラウン「熱意を持ったプレーでファンを楽しませたい」

チームの合言葉はICE(アイス)“Intensity(強度)”“Communication(コミュニケーション)”“Enthusiasms(熱意)”


この日は後輩たちを連れて、大好きなしゃぶしゃぶ店へ。日本でプレーするようになって10年以上のアイラ・ブラウン選手。鍋を囲み、しゃぶしゃぶを堪能します。

同席したのはエヴェッサの絶対的エースでアメリカ出身のディージェイ・ニュービル選手(27歳)と、3年ぶりに古巣大阪へ戻ってきた同じくアメリカ出身のショーン・オマラ選手(30歳)。そして神奈川県出身で、日本代表候補のエリエット・ドンリー選手(25歳)。一番若手のエリエット・ドンリー選手にアイラ・ブラウン選手の印象を訪ねました。

(ドンリ―)「アイラ選手は、リーダーシップもあるし、かっこいいし、強い先輩ですね。」

(ブラウン)「合言葉はICE(アイス)。“Intensity(強度)”“Communication(コミュニケーション)”“Enthusiasms(熱意)”。」

「強さ」と「つながり」と「熱さ」この3つを大切にするエヴェッサの選手たち。

(ブラウン)「会話を大切にして、一生懸命、熱意を持ったプレーをファンの皆さんにお見せして、また見にきたいと思ってもらえるような試合をしたいので、楽しみに持っててください!」

最後は皆で手を合わせて「ごちそうさまでした!」

2度のアキレス腱断裂から1年半 エース橋本拓哉が復帰

橋本拓哉選手「不安もあるけどすごく楽しみ」


開幕へ向け、選手たちが順調な仕上がりを見せる中、長らくコートを退いていたエースが帰ってきました。

エヴェッサ生え抜きのエース、橋本拓哉選手(27歳)。大阪出身の元日本代表です。2度にわたる大けがを乗り越え、今シーズンからクラブに復帰しました。

(橋本)「1年半、何もしていなかったので、不安もありますけど、すごく楽しみでもあります。」

橋本選手は、高校2年生の時にプロデビューを飾り、正確なシュートと鋭いドライブを武器に瞬く間にチームのエースへと成長しました。東京オリンピック代表候補にも選ばれ、大きな期待を背負う中、去年3月の試合中、シュートの着地時に、右足アキレス腱を断裂。全治8か月の大けがを負いました。

(橋本)「勝手に涙が出ましたね。今まで、ほとんど泣いたことがないけど、個人としてもすごいベストシーズンでもあったし、オリンピックも目の前だったし、いろんなことが重なって自然と涙が出ましたね。」

復帰目前に…練習中再びアキレス腱を断裂「心が折れた・・・」

地道なリハビリが続いた


そこからリハビリに励み、復帰も見えてきた去年11月、再び右足のアキレス腱を痛めてしまいます。

(橋本)「1回目の手術後は切り替えられましたけど、それからリハビリを経て、8か月後、もう一回、初日の練習で断裂して、その時は本当に心が折れましたね。どうしようと思って。波乱万丈でしょ(笑)」

二度にわたるアキレス腱の断裂で、選手生命の危機に立たされました。それでも、もう一度、試合に出たいと、再び地道なリハビリと向き合い、今年8月、奇しくも人生を変えた同じコートで実戦復帰を果たしました。

待っていたのは、ファンからの熱い声援。試合で今の自分がどこまで通用するのか、一つ一つ確かめるようにコートを走ります。硬かった表情は、次第に緩み、躍動する橋本選手。奇跡の完全復活へ、確かな一歩を記しました。

「チームとファンへ恩返しを」完全復活目指す

応援し続けるファンも多い


(橋本)「チームも残してくれましたし、ファンにも迷惑をかけていますから、恩返しというか、元気な姿を見せれたらと思います」

帰ってきたエースに、ファンの期待も膨らみます。

(ファン(女性))「絶対に裏で努力してるんやろうなと見ててわかったので、全力でパワー見せて欲しいという気持ちです。

(ファン(男性))「ケガでやめていかれる選手も多い中で、ポジティブに復活してくれた。今後も、活躍してほしい。」

(ファン(男性))「去年、おととしと悔しい想いをしたと思うので、今シーズンはリベンジ頑張って、また日本代表に入って欲しいと思います。頑張ってください!」

Bリーグ制覇へー地元「えべっさん」で必勝祈願

地元の今宮戎神社で必勝祈願


開幕前、クラブはその名の由来となった地元の戎様「今宮戎神社」(大阪市浪速区)で必勝を祈願。

―無事にシーズンを戦えますようにー

橋本選手にとって、その思いは特別です。

(橋本)「まだプレー制限があるので、もっとやりたいなという気持ちがありますけど、徐々に100%に近づけていけるようにトレーニングして、もっとプレーできるように頑張りたいと思います。ファンには、そこまで期待せずにいてほしいなと思います。ちょっとハードルを下げといて、そこで活躍すればね(笑)。最初は多めに見て欲しいなと思います。」

今までにないプレースタイルを取り入れ、新体制で挑む勝負のシーズン。そして、1年半ぶりのエース復帰。個性豊かな役者が揃う大阪エヴェッサ。Bリーグ制覇へ向け、男たちの逆襲が始まります。

(読売テレビ「あすリートPlus」10月2日放送)

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