

「地元に帰ると安心する」奈良が育てた競泳長距離界期待の星
2021年の東京オリンピックで、大橋悠依選手が競泳では日本勢女子として初となる2冠(個人メドレー200m・400m)を達成しました。パリオリンピックでも、日本競泳界の躍進が期待されます。
そうした中、強化合宿の合間に地元・関西でトレーニングに励んでいたのは、800mなどの長距離を専門とする大学生スイマー・難波実夢(みゆ)選手(近畿大学)。10代で東京オリンピックに出場した経験も持ち、競泳長距離界期待のスイマーとして大きな注目を集めています。
(難波)「1・2か月帰れない時もよくありますが、地元(関西)が好きなので。帰ってくると安心するというか…。リラックスできます」
奈良県で生まれ育った難波選手。幼き日に水泳を始めたきっかけについて、このように振り返ります。
(難波)「お母さんが泳げなかったので、(自分の)子どもは泳げたらいいなということで、水泳を習い始めました。気がついたら泳いでいたという感じです(笑)」
【気がついたら泳いでいた】―純粋に水泳と向き合うひたむきな少女が注目を集めたのは、2019年に行われた日本選手権。当時、天理高校2年生だった難波選手は、400mと800mの自由形で初優勝。2冠に輝き、一躍、競泳長距離界の新ヒロインとなりました。
「自分に足りない部分を見つけられたレース」10代で経験した五輪の重み
柴田亜依さんが金メダルを獲得したアテネオリンピック以降、メダリストが生まれていない競泳長距離種目。世界との間に大きく立ちはだかる壁を越える存在として期待されている難波選手は、毎日7000mから8000mの距離を泳ぎ込み、多い日には10000mもの距離をこなすハードな練習を行います。
そんな彼女の持ち味は、可動域が広く、柔らかい足首から生み出されるキックと勢いのあるラストスパート。そんな最大の武器を磨き続ける難波選手は、2年前、自身の夢について番組に話してくれました。
(難波)「実夢という名前の由来でもある【夢が実る】という願いのごとく、オリンピックに出たいという夢があるので、実現させたいと思います」
宣言通り、東京オリンピックという大舞台で400mと800mへの出場を実現した難波選手。しかし、これまでに経験したことのない大きなプレッシャーに襲われ、持ち味のキックを活かしたラストスパートを発揮することができませんでした。
800mでは、自己ベストを大きく下回るタイムで予選17位。2種目共に予選敗退となり、世界との差を突きつけられる悔しい結果に。
(難波)「オリンピックに出たいという目標が大きくて…。出場に対する思いが強くて、本番では思い通りに泳げないことが多くて。悔しい思いもしたけど、自分のレベルと世界のレベルに差を感じましたし、自分に足りない部分を見つけられたレースだったなと思います」
「悔しさをバネにする切り替えも得意」悔しさを次のチャンスに生かす
結果を受け入れ、自分自身を見つめ直した難波選手。そんな彼女の新たなテーマは、長い距離でも継続できるスピード力をつけること。難波選手を小学6年生の頃から支え続けている茅原直人コーチも、さらなるスピード力の強化が課題だと感じていると話します。
(茅原コーチ)「スピードを上げると言っても、単純に短い距離のスピードを上げるということではなく、長い距離のスピードを上げ続けることが重要だと感じています。国内では、能力がそれなりにありますが、海外を見るともっともっと必要だと思いますので…。スピードを上げて、それを継続するのが今の課題だと思います」
伸びしろがあることを見抜きながらも、茅原コーチは、彼女の負けん気の強さや、やるべきことをコツコツと継続してこなす姿勢を高く評価します。
(茅原コーチ)「負けん気の強さや、嫌なこともきっちり継続してこなしているのは、すごいなと普段から思っています。直接は言いませんけど(笑)」
(難波)「直後は悔しいという気持ちが強いんですけど、自分の中でその悔しさをバネにする切り替えも得意だと感じています。悔しさを次に生かせるように考えています」
持ち前の負けん気と粘り強さで築いた【新たな難波実夢】
【悔しさを次に生かす】―その想いを日頃の練習にぶつける難波選手。長い距離を泳ぎ込んだ最後に、大きな水の抵抗を作るパラシュートトレーニングを行い、負荷をかけて追い込みます。そんな日頃の努力の成果が、遂に試合でも発揮されるようになってきていました。
根っからの負けず嫌いと、継続し続ける粘り強さで練習に取り組み続け、挑んだ去年の日本選手権では、圧巻の4冠を達成。
12月にメルボルンで行われた短水路の世界選手権では、以前よりスピード感が備わった【新たな難波実夢】を力強く証明し、8分12秒98の日本新記録で自身初の銅メダルを獲得しました。
「今の夢は、オリンピックで金メダル」期待の星が懸けるメダルへの戦い
日本の競泳長距離界を引っ張っていける存在でありたいと話す難波選手の表情は、迷いを振りきった清々しさそのもの。
短水路の世界選手権で自信を取り戻し、来年のパリ五輪を賭けた勝負のシーズンに突入した難波選手の眼差しは、力強く輝いていました。
(難波)「今の夢は、オリンピックで金メダルを獲ることです。出場したからには、もっと上を目指していきたいと思います」
【夢が実る】―その瞬間を目指し、世界との壁を越えるべく、難波選手は今日も前に進み続けます。
難波 実夢 namba miyu プロフィール
奈良県出身
2002年5月31日生 20歳 A型
身長168センチ 体重62キロ
天理高校〜近畿大学に進学
JSS所属
2019年 日本選手権女子自由形400ⅿ/800m 優勝
※競泳世界ジュニア選手権女子自由形800mで東京五輪派遣標準記録突破
2020年 日本選手権女子自由形1500m 優勝(16分13秒80 高校新記録 )
自由形400、800、1500m 高校記録保持者
2021年 東京オリンピック400m、800mに出場
2022年 日本選手権で自由形4冠
800m(短水路)日本記録を更新
毎週日曜 あさ6:00 読売テレビ地上波で放送
新番組 「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、
2022年4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
「あすリート」の3分では伝えきれない物語や密着映像、また、これまで地上波で観られなかった陸上の関西インカレ、高校サッカー、ボーイズリーグ、中学バレーなどのスポーツ配信サービス
「あすリートチャンネル」の中継コンテンツのダイジェスト版も「あすリートPlus」で放送していく予定です。
土曜放送の「あすリート」のファミリー番組として日曜放送の「あすリートPlus」をお楽しみ下さい。
(読売テレビ「あすリートPlus」3月19日放送)
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