「気が付いた時には救急車で…」日本屈指のトライアスリートを襲った度重なるケガ

上田藍選手

2008年に開催されたアジア選手権で初の五輪切符を獲得、同年北京オリンピックから3大会連続出場を果たし、2016年に女子トライアスロンで、アジア初の世界ランク3位に輝いた上田藍選手(リソル・稲毛インター)。

155cm44kgという小柄な体格ながらも、日本の女子トライアスロン界を力強く牽引してきました。
上田選手は地元である京都の高校を卒業後、単身で千葉へ。大きな希望を胸に飛び込んだトライアスロンの世界でしたが、20年間紡いできた競技人生は壮絶なものでした。2010年には練習中の転倒による外傷性くも膜下出血を経験。

そして、自身4度目の出場となるはずだった東京オリンピックを目指していた2019年には、2度の大けがを経験、選手生命の危機に直面しました。

(上田)「気が付いた時には救急車で運ばれていて…。肺気胸と脾臓の裂傷、外傷性のくも膜下出血で入院することになりました」

「まだまだ世界に挑戦していきたい」トライアスロンからアイアンマンへ

トライアスロンからアイアンマンレースへの転向を決意

競技者としての挫折を味わうたび、驚異の回復力で乗り越えてきた上田選手でしたが、遂に東京オリンピックの選考会を欠場。自身のスポンサー契約も終了し、このまま引退かと思われましたが、上田選手は自身の活躍の場を新たなフィールドで見出していました。

(上田)「まだまだ世界に挑戦していきたいという思いと、【プロ・カテゴリーで頑張っている選手を一緒に盛り上げてほしい】という言葉をもらっていたので、トライアスロンからアイアンマンへの転向にチャレンジしようと踏み切りました」

「コナ大会、出ないとダメですね」目指すは世界最高峰の舞台

決意を新たに前へ


トライアスロンからアイアンマンへの転向を決断した上田選手。オリンピックで戦う距離(51.5キロ)の4倍を軽く超える226キロを10時間以上かけて走破するアイアンマンレース。体力と気力への資質が問われる、恐るべき鉄人レースです。

まだ日本中が東京オリンピックの余韻で包まれる中、長野県で合宿をスタート。日本人女子ではほとんど前例がない、プロのアイアンマンレーサーとしてたったひとりで海外に乗り込み、2022年から2月からアイアンマンレースに参戦しました。4月にはフルレースを初完走すると、同年10月にはアメリカ・テキサス州で開催されたハーフレースで見事、初優勝を飾りました。

持ち前の輝く笑顔と共に切ったゴールテープ。娘の頑張りを心から応援する上田選手の両親も地元・京都からスマートフォンを握りしめ、エールを送ります。

(両親)「(画面に映し出される上田選手の到達地点の中継について)スマホの画面上に小さな駒みたいなものが動くんです。(上田選手が)走っている時にデータが出るんですね。【上田藍がいる!】とわかります」

両親の応援を一身に受け、世界へと挑み続ける上田選手。次なる目標は、世界最高峰のハワイ・コナの地で開催される世界チャンピオンの座です。

(上田)「スロット(出場権利ポイント獲得)にチャレンジするために、まずは2023年3月のニュージーランド大会に出場します。(世界王座への挑戦)コナ大会、出ないとダメですね!」と、明るい笑顔で目標を語る上田選手。新たなフィールドで活躍中の上田選手に、大きな期待と注目が集まります。

上田 藍 ueda ai プロフィール

1983年10月26日生まれ 京都市出身 39歳

京都・洛北高校2年生の時に陸上競技からトライアスロンに転向。

155センチ44キロという小さい体ながら、世界ランキング最高位は3位。2008年の北京五輪からロンドン・リオと3大会連続で五輪日本代表となるなど日本女子トライアスロン界をけん引し続けてきた。

ワールドトライアスロンのレースには20年間で210戦出場し29レースで優勝、51回表彰台 国内では日本選手権で女子最多の5度の優勝。

(読売テレビ「あすリート」1月28日放送)

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