学生陸上の集大成・日本インカレ開幕へ

甲南大学4年 青山華依選手

大学生の頂点を決める日本学生陸上対抗選手権、通称「日本インカレ」。93回目を迎える大会が9月19日に開幕します。最終学年の選手たちは特別な思いを持って臨みます。「あすリートPlus」では、1年生の時から学生陸上を引っ張ってきた2人の選手に、ラストイヤーにかける思いを聞きました。

甲南大学4年の青山華依選手は、学生ラストシーズンを奮闘中のスプリンター。短距離を専門とし、大阪高校2年時には、日本選手権で3位に入賞しました。2021年に大きな期待を背負って甲南大学に入学し、同じ年の夏には東京オリンピックを経験しました。最年少メンバーとして女子4×100メートルリレーに出場。日の丸を背負い、夢舞台を堂々と走り切りました。
青山選手を指導する伊東浩司コーチ(男子100メートル元日本記録保持者)も、期待を寄せてきました。

伊東「あのストライドと柔らかさはすごく魅力があるので、自分が100メートルで経験してきたことは全て教えていきたいなと思っています」

大怪我で長期離脱 笑顔でリハビリを乗り越える

リハビリ期間中の青山華依選手

東京オリンピックの翌年のには11秒47と自己ベストを更新。トップスプリンターへの道が見えていた矢先、突然の悲劇が彼女を襲いました。去年、左膝前十字靭帯を断裂する大怪我をし、手術を余儀なくされました。

青山「どこまで戻れるかなあ…」

歩くことから始め、長く苦しい日々を過ごしました。それでも、笑顔で「しんどい!」と言いながら、地道なリハビリを持ち前の明るさで乗り越えていきます。
そして去年11月、13か月ぶりにトラックに戻ることができました。エコパトラックゲームズに出場した青山選手は、女子100メートル予選でトップに。レース後には、涙を堪える姿がありました。

青山「とりあえず、第1段階として走り切れたことが嬉しい」

「タイトルをとりたい」再起をかけるラストイヤー

笑顔でインタビューに答える青山華依選手

青山選手の日本インカレでの最高順位は100メートル、4×100メートルリレーのいずれも3位。最後に挑む大会ではタイトルをとりたいと意気込んで今シーズンを迎えました。しかし、個人種目の100メートルの出場枠は各校3名まで。去年の日本インカレの表彰台を独占した同じチームの後輩たち、藏重みう選手・岡根和奏選手・奥野由萌選手とその枠を争います。
走れる喜びと期待を持ちながら「後輩たちには負けていられない」と臨んだ今シーズンですが、青山選手はなかなか思うような走りができません。理想と現実のギャップに気持ちも追いつかなくなっていました。一方で、後輩たちの躍進は今シーズンも続きます。5月の関西インカレで表彰台に立つなどし、チーム内での競争は激しさを増しました。

青山「なかなか難しいなと思います…何とも言えないです。悔しいと思えるところまでいける走りができていないので」

8月末、日本インカレのエントリーが発表。個人種目に“青山華依”の名前はありませんでした。それでも、リレーに集中しようと気持ちは前を向いています。

青山「もし選ばれていたとしても今のタイムじゃ結局きついし、名前がなくて納得しました。逆にリレーだけに絞って集中することができますし、“悔しい”より“頑張ろう”と思えました。甲南大学には学生トップ3の後輩たちがいるので、私はもうバトンを繋いで、後輩たちを信じて優勝したいです!」

日本のトップハードラー 立命館大学 山本亜美選手

立命館大学4年 山本亜美選手

立命館大学の主将・山本亜美選手は去年、女子400メートルハードル日本代表として世界選手権やアジア選手権など、世界の4つの大会に出場しました。今年5月の関西インカレでは4連覇、6月の日本選手権でも追随を許さず4連覇。文字通り、日本のトップハードラーです。

山本「4連覇できたことは自分でもすごいとは思うんですけど…自分に負けたくないというのが1番あって。去年この大会で自分はこのタイムで走っている。毎日毎日練習を頑張っているのに1年後の自分は去年の自分に負けるはずがないよなという思いでやっています」

試合よりも練習が大好きな山本選手。「努力は必ず報われる 報われない努力があるのならばそれはまだ努力とは呼べない」という、世界のホームラン王・王貞治氏の言葉を大事にしています。

「笑って終わりたい」主将としてエースとして挑む日本インカレ

笑顔でインタビューに答える山本亜美選手

国内では無類の強さを見せる絶対女王の山本選手ですが、実は日本インカレには苦い思い出が多くあります。1年目は個人種目の400メートルハードルで準決勝敗退、4×100メートルリレーのメンバーにも選ばれず、2位入賞の歓喜の輪を観客席から眺めることしかできませんでした。去年は連戦の影響で個人種目の決勝を棄権し4×100メートルリレーに賭けたものの、メダル圏外の5位。チームも総合12位と、悔しい結果となりました。

山本「この間お母さんと朝ごはんの時に話していて、“あんたインカレ勝ったことあるの?”と言われて、“あるわ!一応2年生の時に優勝してるわ!”って言ったんですけど(笑)。それぐらいインカレで私の印象ってなくて…。やっぱり今年は主将としていいところを見せなあかん役割があると思っているので、頑張ります!」

今年の立命館大学のスローガンは、漢数字の「一」と書いて「はじまり」。“一(いち)から頑張ろう”、“みんなで一(ひと)つになろう”、“一(いち)番をとろう”という、さまざま意味が込められています。

日本インカレを最後に4年生の代は終わり、後輩たちへと引き継がれます。山本選手は、主将として、エースとして、1年間作り上げたチームの集大成を最後の大会にぶつけます。

山本「終わっちゃうんやという悲しさと、3日間頑張って走りきれ!亜美!と自分にずっと言い聞かせるのと、泣きたくないという気持ちがありますね。笑って終わりたい」


9月19日(木)から22日(日)まで開催される第93回日本学生陸上対抗選手権「日本インカレ」は、
あすリートチャンネルでライブ配信を予定しています。

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毎週(日) あさ6:00  読売テレビ地上波で放送



「あすリートPlus」 は、読売テレビで毎週土曜日に放送中の「あすリート」の拡大版として、この4月にスタートした関西のアスリートたちを紹介、追跡取材してご紹介する番組です。
「あすリート」の3分では伝えきれない物語や密着映像、地上波で観られなかった陸上の日本インカレ、関西インカレ、高校サッカー、ボーイズリーグ、中学バレーなどのスポーツ配信サービス「あすリートチャンネル」の中継コンテンツのダイジェスト版も「あすリートPlus」で放送していく予定です。
土曜放送の「あすリート」のファミリー番組として日曜放送の「あすリートPlus」をお楽しみ下さい。

(9月15日放送)

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