12月22日、大阪 豊中の履正社高校でラグビー日本代表のキャプテン リーチマイケル氏(31) が
「日本スポーツと英語の新時代」と題するトークイベントにゲスト出演しました。
履正社高校系列の履正社医療スポーツ専門学校(大阪市淀川区)はスポーツ外国語学科を来春から新設。
その学科長に、ラグビー日本代表通訳の佐藤秀典氏(38)が就任することになり
英語を始めとする外国語を使える人材が不足している日本のスポーツ界をサポートします。
佐藤氏の記者会見の記事はこちら
【ラグビー】日本代表の通訳 佐藤秀典氏の新たな挑戦にリーチマイケルが応援!

今回、スポーツに特化した外国語学科の学科長に就任することが決まると
「真っ先にリーチに伝えました」と佐藤氏。
リーチマイケル氏は
「すごくいいと思った。ヒデさん(佐藤氏)にぜひ協力したいと言いました」

トークはリーチマイケル氏、佐藤秀典氏、司会はスポーツジャーナリストの生島淳さんの3人で進行しました。

左から、生島淳氏、リーチマイケル氏、佐藤秀典氏

生島:日本語で英語に訳すことが出来ないなという言葉ってありました?

リーチ:たくさんあります。 “よろしく” ってのがなかなか英語に訳せないなと思いました。

生島:佐藤さんならなんて訳します?

佐藤 “よろしく” ? 
   どういう場面で「よろしく」って言ってるかですよね。
   仕事を初めてするときだったら Please work with you (いっしょにやっていきましょう)かな?
   いっしょにプレーするときにチームに入って来た人が「よろしく」って言ったら
   Looking forward to play with you (君とプレー出来るのを楽しみにしてる)とか。
   そういうのになると思うんですけど。
   あと「おつかれ」ってのもないですね。

生島:キャプテン(リーチ)は「おつかれ」って使います?

リーチ ぼくはよく使います。日本語ではよく使いますけど英語ではあんまり使わないです。
    あと「根性」ってのも難しいですね。 根性練習って日本のものだと思ってました。
    (佐藤氏に)根性って英語でなんですか?

佐藤  Gutsy とかかな。
    でも、そうなんだけど、ちょっとそうじゃないみたいなところがあったりするので、
    ニュワンスがちょっと違うかな。そこで心に刺さるか刺さらないかなんですよね。
    だから直に英語を学んで、そのニュワンスまでもしっかり理解出来てたら、
    すんなり入ってくると思うんですよね。

「神に誓うな、おのれに誓え」という言葉が好きです

生島:キャプテン、好きな日本語とかあります? 根性はあんまり好きじゃないと思うんですけど。

リーチ 根性は好きです。(笑)
    根性練も好きだし。
    好きな言葉ですか、ずっと言ってるんですけど、 
    「神に誓うな、己に誓え」って言葉が一番好きです。
    自分の力でどうにかするっていうこと、それを信じてやってきました。

生島:英語にそういう名言みたいなものがあるんですか?

リーチ いやないです。大学の同期に教えてもらったんです。
    英語だとなんですかね?

佐藤  Believe yourself not God ですかね?
    こういうことわざみたいなものをパッと聞いて訳すのは難しいんですよね。
    一種のアートじゃないですか、ことわざとか格言とかは。

生島:エディーさんも、ジェイミーもことわざとか好きですよね。

佐藤 そうですね、よくギリシャ神話から引用したりしますね。
   そう “ダビデとゴリアテ” で。(笑)
   ※旧約聖書のサムエル記の登場する物語
   英語ですから David and Goliath (デイビッド アンド ゴライアス)って発音なんですよね。
   それを大きな記者会見とかで言うんですよね。
   最初、なんのこっちゃわからなくて、
   話の流れ的には、、Goliath(ゴライアス) ていうなんか音的に推測して、
   小さな人たちが大きいものに果敢に挑むってことだろうなと思って、そう訳したんですけど、
   普通に“ダビデとゴリアテ” て言えばよかったんですけど。
   咄嗟に出てこなくて。

前大会のエディージャパン以来のキャプテンと通訳です。

通訳が“間接すべり”してました

生島:キャプテンはニュージーランドにいた時から日本語を勉強してたんですよね

リーチ してました。ただ勉強したものが日本へ来たときに全く使えなかったです。
    ですます調の教科書だったので、高校(札幌山の手高校)へ行ったらスラングが多くて。
    「行こうぜ、行こうぜ」って言われて、何のことかわかんなくて。

生島:「行きましょう」しかわかんなかった?

リーチ:ニュージーランドの教科書にはなかったんで。

生島:日本代表でコーチ陣がなにか言って日本の選手がこれは理解してないなってことありました?

リーチ ありますね。
    ヒデさん(佐藤通訳)がすごい大変。
    外国人スタッフが面白いこと言って、実は全然面白くないのに。
    それをヒデさんが通訳して、ヒデさんがすべってるようになる。(笑)

佐藤  それを間接すべりって思ってたんですけど。(笑)
    笑わなかったら「おまえがちゃんと訳してないからだろ」って怒られる。
    だから「みんなここ笑って」なんて言ったりしてました。

佐藤秀典 sato hidenori 38歳

1981年生まれ
10歳でオーストラリアに移住し、現地の高校を卒業後、帰国して通訳の道に。
ワールド、キャノンの通訳を経て、2015年からはラグビー日本代表、
2016年からはプロラグビーチーム「サンウルブス」の通訳を務め、
ワールドカップイングランド大会、日本大会をはじめ、世界の大舞台を数多く経験している。
デスメタルバンド「インファーナル・リバルジョン(悪魔的憎悪)」のヴォーカルというもうひとつの顔を持つ。

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