2年前(2018年)にあすリートで紹介した立命館大学の田中佑美選手。
関大一高時代にインターハイを連覇すると、関西の強豪校・立命館大学に進学。
昨年は関西インカレ3連覇、日本インカレで初優勝を飾るなど、学生No.1 ハードラーに成長しました!
チームとしての目標は、関西インカレ、全日本インカレ、全日本大学女子駅伝、富士山女子駅伝という4つの大きな大会で優勝すること!
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、陸上界でも各大会の延期、中止が相次ぎ、立命館大学陸上競技部も緊急事態宣言中の活動自粛を決定。
限られた練習しかできない中で、トラックでみんなと走りたいという思いが強くなり、「あ、私って陸上が好きなんやったんや」という気持ちに気づかされたと言います。
苦しい状況の中でどう過ごしているのか、現在の心境をリモート取材しました!
ロングインタビュー動画を3つのテーマに分けてアップします。
3回目はシーズン開幕が待ち遠しい2020年の決意、その先の展望を聞きました。
自分にキャプテンは出来ないなって思ってました
Q.キャプテンに就任しましたね。
A.あまりやりたくなかったというか、できないって思っていました。
Q.どういう経緯で?
A.部員の話し合いと、監督や前主将との相談の中で決められました。
Q.キャプテンとして心がけていること
A.できるだけ全部員の様子を把握しておきたいなっていうのは思っているので、ケガをしていないかとか、
ケガの可能性がないかっていうのはできるだけ常に目を光らせていたっていうのと、
競技に関する相談は受けやすいようにと思って、コミュニケーションは意識してとるようにしています。
Q.キャプテンとしての主な役割は?
A.ミーティングを週4回行うんですけど、毎回毎回一言主将が言うんですよね、集合の最後に。そういう習慣がついたというか、何十人を目の前に自分が考えていることであったり、みんなに意識してもらいたいことを話すっていうのは初めてだったので、それは新しい仕事ではありましたね。
Q.手ごたえは
A.本当に毎日なので、他にもファイルを作ったりとかミーティングの教室をとったりとか、そういう雑多な仕事もかなりあるんですけど、毎日毎日実のあることを話すっていうことが、難しかったですね。
話すのは好きですけど、「今日いい天気ですね」で終われないので。ネタ帳みたいのを作って、誰か1人に響く言葉を、1人でいいので毎日毎日言えたらなとは思っています。
Q.名言みたいなこと?
A.自信の持ち方とか、ですね。
Q.これはハマったっていう言葉はありますか?
A.これは、春合宿、沖縄に毎年合宿に行っているんですけど、そこで女子ミーティングっていう、ご飯のあとにミーティングの時間を作るんです。
そこで話したことは、ちょっとクイズを入れたのでみんなちょっと盛り上がってくれたんですけど。
それは、「頭の才能と体の才能と心の才能」の話で。体の才能は、いわゆるみんなが思うような身長であったりとか、筋肉がつきやすい体とか、アキレス腱が長いとか、自分にどうしようもない才能の部分で、いわゆるみんなが言う才能の部分。
心の才能っていうのは、こうやって自粛期間になった時に練習を続けられる心、いくらでもさぼろうと思ったらさぼれるので、そういうことをしない、自分で決めたことをちゃんとするという心の才能。
頭の才能っていうのが、練習に対して頭を使う。同じ練習でも頭を使うだけで全然違いますし、計画的にシーズンを迎えられるか、
計画的に冬季を過ごせるかっていう頭の才能っていうのが存在して、高校までは頭の才能と心の才能を高校の先生が担っている場合が多い。
それこそ強豪校であれば、体の才能だけで、あとは決められたメニューを真剣に取り組んで、みんなと一緒に頑張っていたらタイムが出ましたっていうことが多いですけど、大学になったらそういうわけにはいかない。
特に立命館は、自分で考えるチームなので、心の才能と頭の才能がものを言ってくる。
だから、その3つを揃えること、またはどれか1つを選択して他は頼れる人を選ぶこと、賢く立ち回ることが大事だよっていうところから円陣の話を取り入れまして、つらつらと続きます。
Q.誰かに習ったんですか?
A.これは、コーチと喋っている時に、自分がパッと言った言葉なんですけど。
それこそ同期で悩んでいる子がいたので、その子はなんで悩んでいるんやろって考えたときにそれが思いついたので、それをメモして引っ張り出してきました。
Q.自分の引き出しから出した考え?
A.後から考えたら、心・技・体ってよく言うよなって思ったんですけど、そんな感じです。
リツメイプライド
Q.キャプテンになって変わったことは?
A.今までキャプテンという仕事を経験したことがなくて、人生初キャプテンがこんな大きな仕事でいいのっていう感じで、最初は戸惑ったんですけど、
選んでもらったからには自分にしかできないというか、キャプテンの色が自分が経験した限りではチームに影響を及ぼすので、自分のいい面をみんなに吸収してもらえたらなっていう風に腹をくくりました。
Q.どういう色を出したい?
A.部員に伝えたことが何個かあって。立命館は毎年、モットーみたいなものを各学年のトップの方が決めるっていうルールがあって、
私の1つ前が「自身 信頼 挑戦」。もう1つ前が「超越」という言葉があったんですけど、私の学年はモットーを「リツメイプライド」にしました。
それに込めた気持ちとしては、名門チームなので名門の誇りを持ってほしいというのと、もう1つは私の個人的な願いが入っているんですけど、大学まで陸上を続けている人って相当な陸上オタクだと思うんですよ。そういう子たちに1人の選手として、やり遂げたな、やり通したなって思ってもらえるような競技生活を送ってほしい。そう思えるような練習ができるような、そういう結果が出るようなチームになりたいなって願いを込めて、選手としてとチームとしての誇りを持ってほしいということで「リツメイ プライド」に決定しました。
Q.目標にしている大会は?
A.当初は、東京オリンピックがある予定だったので、シーズン前半からぶっ放していこうと。
それこそ織田記念や木南記念、日本選手権まで昨シーズンみたいにいいタイムを更新していけたらなって思っていましたし、
日本学生新がもうちょっとだったので、私は日本高校新もあともうちょっとって言われて出せなかったり、関西学生新も去年の関西インカレで出せればよかったのに、次の部員がいない大会で出してしまったりとか。
Q.やるはずだった関西インカレについて
A.関西インカレは、立命の部員がたくさん出場することができて、たくさん活躍することができて、チームとして嬉しい大会。
関西っていう身近な環境で、今年は長居第一っていう大きいスタジアムを使わせてもらえる予定だったので、とても楽しみにしていたんですけど。
今までの私だったら、関西インカレよりも自分はタイムをとか全日本インカレをとか日本選手権をって思っていたと思うんですけど、
主将になって関西インカレの参加標準を切るために頑張っている子だとか、そういう子たちも結構見てきたので、そういう意味では関西インカレが行われればっていうわけでもない、
関西インカレに出るために頑張っている子たちもいるので、なんとも複雑な気持ちです。
Q.チームとしての目標は?
A.4大目標っていうのがあって、関西インカレと全日本インカレと富士山女子駅伝と全日本女子駅伝。そのすべてで総合優勝するっていうのが部の目標です。
そういう意味では、総合優勝は関西インカレでも狙っていました。
Q.関西インカレはやりたいですよね。
A.チームのためにやりたいですね。(5月現在は延期)
実業団でも陸上を続けたい!
Q.オリンピック延期発表時はどういう心境でした?
A.発表された時点で「だろうな」とは思いました。
発表されるかもしれない、1年延期かもしれないってザワザワザワってしたときは、半分半分で、
半分は自分がシーズンうまく走れるかどうか毎年本当に不安なので、目の前の不安は去ったなっていう弱いところの気持ちと、
あと1年ってなってくるとせっかく冬の間、自分で目標を持って慣れ親しんだ環境でいいように冬季を乗り越えてきたので、
もったいないというか、勝負したかったっていう気持ちと半分半分でしたね。
Q.この1年の猶予はどうとらえている?
A.やることは一緒じゃないですけど、シーズンの経験値が今までよりは少なくなってくるので、冬季に対するお土産じゃないですけど、課題を発見する機会が減ってしまったのはちょっと残念かなって思っています。
この冬季でやりきった!っていうわけではないので、現状できる限りではやり切っていますけど、自分自身伸び切ったっていうわけではないので、冬がんばってまた来シーズンっていう風には思っていますね。
元々、東京オリンピック!っていうタイプではなかったので、やることは変わらずっていう感じです。
Q.オリンピックへのあこがれは?
A.出られるなら出たいですけど、2年前よりタイムが上がって学年が上がって、オリンピックが近づいてきたわけじゃないですか。
でも、近づいてきたからこそ遠さが分かるというか、陸上を真剣やってきたから寺田さんとの0.2秒の差が大きいと分かるように、
東京オリンピックまでもうちょっとだからそのもうちょっとを埋めるためにいろんな人が努力してきたっていうことも前よりは分かるので、進んで下がってプラマイゼロっていう感じです。
Q.具体的な目標は?
A.就職することです。実業団に就職して陸上を続けたいと思っていますので、ぜひ企業さん採用していただければ懸命に頑張りますので、陸上を続けることが当面の目標です!
自粛期間で陸上をしてもしなくてもいい環境になっても自分は頑張って走っているので、陸上は本当に生活の一部なんだなって改めて感じるので、
試合っていう名の就職活動がなくなったから、陸上競技を辞めるっていうのはたぶん無理だなって感じたので、自粛期間のおかげで腹をくくりました。(笑)
(インタビュー 林龍之介)
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