週刊ひがしおおさか さんの提供記事です。
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「昭和の昔じゃないんだから、今どき関西だ、関東だって対抗意識なんてないでしょう。」
はい、そのとおり。
でも、ラグビーに関してはそのロジックは当てはまらないのです。
特に、圧倒的人気を誇る大学ラグビーにおいては長らく「東高西低(とうこうせいてい)」と言われ、関東地区の大学が強い状況が続いています。
お正月にテレビで盛り上がっている、「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」で
関西大学リーグ所属のチームが優勝したのは1984年度(昭和59年)の同志社大学が最後。
なんと34年間、平成の間ずっと関西の大学は全国優勝を果たしていないのです。
ここまで差があると、関東からは「勝って当然」と思われてしまうのが関西ラグビー。
そんな状況ですから、関西の高校はすんごく強いのに、有望選手がみんな関東の大学へ進学してしまう。
それが長くラグビーシーンの当たり前でした。
そして、2010年代に入って提唱されてきたのが「チーム関西」という考え方。
関西の大学が一丸になり、リーグ全体のレベルを上げて関東に対抗できる勢力として関西を育てようというものです。


019年、ラグビーワルドカップイヤーの大学選手権は関西王者の天理大学が、9連覇中だった帝京大学を破って決勝進出。
2012年以来2回めの決勝戦、
しかも今シーズンの天理大学は関西リーグ史上最強だという声もあり。(というか僕らがずっと言い続けてきた)、
週刊ひがしおおさかはいても立ってもいられず決戦の地東京・秩父宮ラグビー場へ向かいました。

超満員の秩父宮ラグビー場。このほとんどが、明治大学のファン

対する明治大学も22年ぶりの優勝がかかる大一番とあって、ファンも大挙して押し寄せます。
その数20,055人。8割、いや9割が明治大学のファンという状況です。

先制したのは天理大学。
前半3分にラインアウトを一番前に合わせてキャプテン2島根が絶妙のボディーコントロールでトライを奪います。
やっぱり天理はレベルが違う!なんて叫んじゃいましたが。

「いける!」
多くの関西ラグビーファンが、そうつぶやいたでしょう。
しかし、それ以後、天理大学が劣勢に立たされます。
ラインアウトでプレッシャーを受けると、密集でのボールの奪い合いやディフェンスでもミスが出て、いつもの勢いが感じられません。
7分、22分にトライを奪われて逆転されても、エンジンは全開といかず。5-12で前半を折り返します。

後半に入り、得点を重ねるのは明治大学。
1本のトライとPG(ペナルティゴール)で5−22と天理大学を突き放していきます。
トライが遠い天理大学。関西大学Aリーグでは、無敵を誇ったアタックが、ここではうまく噛み合いません。
8マキシ、13フィフィタ、5モアラ、自慢の留学生3人も、明治大学の粘り強いディフェンスに阻まれます。
天理留学生軍団で一番のイケメン、フィフィタ。

しかし、ここで状況を打開したのが、キャプテンの2島根でした。
29分自らがボールを持って22m前に進みトライを奪うと、35分にも2島根のビッグゲインから13フィフィタがトライもぎ取り17−22。
残り5分、1トライ1ゴールで逆転できる点差に迫ります。
抜けたらゴールへ一直線!パワー、スピード、スキル全部兼ね備える。

2つめのビッグゲイン。このあとフィフィタがねじ込んだ。

まさに意地。
関西リーグ史上最強の王者としての意地を見せる天理大学。
逆転を信じ攻め続けましたが、無念。80分経過後に13フィフィタのノックオンで試合が終了しました。
ああ、痛恨のノックオン。でも誰も君を責めないよ。

悔しい。力の差はなかった。
ここまで、大差で勝利してきた天理大学に対し、ギリギリの試合を戦ってきた明治大学。
タイトな試合に対する経験値の差と言っていいでしょう。
関西大学リーグがもっと強くなって、天理大学を凌ぐチームがいくつも存在し切磋琢磨することが次のステップとして求められる。
そう強く感じた試合でした。

しかし、準優勝と言えど天理大学は強かった。
関西大学リーグを無双した破壊力、帝京大学を圧倒した強さ。
本当にかっこよかった。僕たちを決勝の地に連れてきてくれてありがとう。
そして、日本一という目標を後輩たちに引き継いで、この先素晴らしい人生を歩んでください。
本当にありがとう!かっこよかった!

小松節夫監督
いい準備をして望んだが、ファイナルに勝つ何かが足らなかったのかなと思う。
去年明治大学さんは悔しい思いをして勝ち上がってきて、私達は7年ぶりで。
その差なのかなと。
残念ですが、この悔しさを次の世代が受け継いで日本一を目指して頑張んっていきたい。


島根一磨キャプテン
挑戦する気持ちで戦ったのですが、最初で受けてしまったのが敗因の一つ。
この舞台に立てたことは天理として良い経験。
下級生も多く残るので、また日本一を目指して頑張ってくれると思う。


Q.最初のトライはサインプレーなど、積極的にプレーできていたと思うが。
島根キャプテン
最初のトライは明治大学のミスから。
明治大学のボールになったときにいつもどおりのディフェンスができなかった。
FWを倒せなかったところで受けたイメージ。

Q.最後のスクラムはどうするつもりだったのか。
島根キャプテン
押すつもりだったが、相手のプレッシャーが強く受けてしまったので出さざるを得なかった。

Q.試合通してスクラム・ラインアウトの手ごたえは。
島根キャプテン
スクラムは終始プレッシャーをかけられたが、大事な部分で受けてしまった。
ラインアウトは相手のプレッシャーでなかなかうまくいかなかった。

Q.後半キックが多いように感じたが
小松監督
前半風下で風を感じていた。後半はエリアを取ろうと指示した。
明治大学さんのキック処理がうまく、うまくエリアを取れなかった。

Q.明治のプレッシャーやディフェンスをどう感じていたか。
島根キャプテン
自分たちのテンポを崩すためにボールキャリアーに絡んできた。
こちらの人数が少ないのでいいアタックができなかった。

Q.今まで戦ってきた明治と、ここで戦った明治との違いを感じたか。
島根キャプテン
いつも通りのイメージで挑んだが、受けてしまったところからいつもと違うな、と。
自分たちのラグビーができなくなっていった。後半は修正できたが。

Q.監督にとって2回めの決勝だったが
小松監督
7年前に比べて、今日はいい勝負をしたいと思い挑んだが、明治大学のプレッシャーはファイナルならではなのかなと。
決勝のアタック、プレッシャーをされた。うちはそれができなかった。



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アシペリ・モアラ (留学生の中でも抜群の破壊力。スーパー1年生)


今の気持ちは、悔しいです。前半は苦しかったけど、ゲインできたのは良かったです。
来年からはもっと強いチームになって、日本一になるチームにしたい。
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藤原忍 (U20日本代表 天理アタックの要になる2年生)


初めのトライで勢いに乗れたらよかったが、得意のディフェンスから点を取り返されてしまった。
明治のディフェンスも前に出ていたので、手こずりました。僕がテンポ出していきたかったができませんでした。
前半の細かいミスは、ハーフタイムで修正できました。
下級生の選手もいっぱい出て、悔しかったと思う。その悔しさを次に繋げて行きたい。
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岡山仙治 (167cmにして相手のボールをもぎ取る怪力3年生)


流れに乗っていけず、アウェイのときどうすれば良いかをもう少し冷静になってやればよかった。
僕はあと1年しかない。勝つためにどうすれば良いのかもう一度最初からやり直し。もう一度ここへ戻ってきたい。
ゲーム運びを意識していたが、それでも負けてしまう。もっと突き詰めたい。

また、来年ここで。その時は日本一を!


text by 前田寛文(週刊ひがしおおさか編集長)


[週刊ひがしおおさか プロフィール]
東大阪の地域情報サイト・週刊ひがしおおさか。 
地域のグルメやイベント情報を日々アップしていますが、特に力を入れているのはラグビー。
花園に拠点をもつラグビーチーム「近鉄ライナーズ」のことならおまかせ!
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